
① まず「何のために仕切るのか」を決める
間仕切りを考えるときは、最初にその場所を分ける目的を整理します。
たとえば、
- 売場とバックヤードを分けたい
- お客様からスタッフスペースを見えなくしたい
- カウンセリング用の個室をつくりたい
- 音や会話が漏れにくい部屋にしたい
- 将来レイアウトを変更できるようにしたい
など、目的によって適した間仕切りは変わります。
単に視線を遮るだけなら、天井まで壁をつくらず、背の低いパーテーションや什器で対応できる場合もあります。
一方、会話の聞こえにくさやプライバシーを重視する部屋では、天井まで壁を立ち上げる必要があるかもしれません。
最初から「壁をつくる」と決めるのではなく、何を仕切りたいのかを明確にすると、必要以上に工事を増やさずに済む場合があります。
② 天井まで壁をつくるかどうかで工事内容が変わる
店舗の間仕切りには、天井まで完全にふさぐものと、上部を開けるものがあります。
見た目だけなら似たような間仕切りでも、天井まで壁をつくるかどうかによって設備への影響は変わります。
たとえば、一つの空間にエアコンの吹出口が一つしかない状態で、中央に天井まで壁をつくると、片方の部屋には空調が行き届かなくなることがあります。
換気についても同様です。
もともと一室として計画されていた空間を複数の部屋へ分ける場合、新しくできるそれぞれの部屋に必要な空気の流れを確認します。
間仕切り壁の高さを決めるときは、見た目やプライバシーだけでなく、天井にある設備も一緒に確認することが大切です。
③ 空調・換気・照明の位置を確認する
店舗の天井には、エアコン、空調の吹出口、換気口、照明などさまざまな設備があります。
間仕切りを追加すると、それらの位置が新しいレイアウトと合わなくなることがあります。
たとえば一つの広い部屋を二つに分けたところ、
- 片方だけエアコンがない
- 換気口が一方の部屋にしかない
- 照明が壁の真上に来てしまう
- スイッチが別の部屋側に残ってしまう
といったことが起こる場合があります。
壁の位置だけを平面図で確認すると問題なく見えても、天井設備を重ねてみると調整が必要になるケースは少なくありません。
間仕切りを計画するときは、床面のレイアウトだけではなく、天井側の設備図もあわせて確認します。
④ 消防設備への影響を確認する
店舗内に新しく間仕切りを設ける場合、消防設備についても確認が必要になることがあります。
たとえば、間仕切りによって新しい部屋ができると、既存の感知器やスプリンクラーなどの配置が、そのままでよいとは限りません。
避難経路や誘導灯などについても、レイアウト変更の内容によって確認が必要になる場合があります。
特に商業施設や大型ビルでは、テナント側だけで消防設備を変更できず、指定業者との調整が必要になることもあります。
「壁工事だけだから消防設備は関係ない」と考えず、施工会社や施設側へ事前に確認しておくことが大切です。
完成間際になって設備の追加が必要になると、壁や天井の仕上げ後に再工事が発生する可能性があります。
⑤ 防音したい場合は壁だけで考えない
カウンセリング室、診察室、会議室などでは、「隣の部屋へ会話が聞こえにくくしたい」という希望があります。
その場合、間仕切り壁の中に吸音材などを入れる方法がありますが、壁だけを強化すれば十分とは限りません。
たとえば壁を天井面までつくっていても、その上の天井裏が隣室とつながっていれば、音が天井裏を回り込むことがあります。
また、扉の隙間や換気口などから音が伝わることもあります。
反対に、「完全な防音室が必要」というほどではなく、隣の会話が多少聞こえにくくなれば十分という店舗もあります。
必要な性能によって工事内容や費用は変わるため、「防音したい」だけではなく、どの程度の音を抑えたいのかを施工会社へ伝えることがポイントです。
⑥ 扉の位置と開き方まで一緒に考える
個室をつくる場合、間仕切り壁と一緒に扉を設けることが多くあります。
この扉の位置や開き方も、店舗の使いやすさに大きく関係します。
たとえば、開き戸を設けたものの、扉を開けると家具や什器にぶつかる場合があります。
通路側へ大きく開くことで、人の動きを邪魔することもあります。
引き戸であれば扉を開くスペースを抑えやすい一方、壁のつくり方や周囲の設備によって採用しにくいこともあります。
また、個室の入口が店舗の正面から直接見えるのか、少し角度を変えて視線を避けるのかによっても印象は変わります。
間仕切りを検討するときは、壁の位置だけではなく、扉を開けた状態まで図面上で確認しておくと安心です。
⑦ 将来レイアウトを変える可能性も考えておく
店舗では、営業を続ける中でレイアウトを変更することがあります。
スタッフが増えてバックヤードを広げたい、個室を追加したい、売場を広げたいなど、オープン時には想定していなかった変更が必要になることもあります。
そのため、間仕切りを計画するときは、すべてを固定的につくる必要があるかを考えておくことも大切です。
たとえば、将来的に動かす可能性が高い部分は、造作壁ではなくパーテーションなどで対応する方法もあります。
一方、遮音性やデザイン性を重視する場所では、しっかりとした壁をつくったほうが適している場合があります。
店舗内のすべてを同じ方法で仕切るのではなく、
- 長期間位置を変えない場所
- 将来変更する可能性がある場所
- 音や視線をしっかり遮りたい場所
に分けて考えると、店舗運営に合わせた計画を立てやすくなります。
居抜き物件の既存間仕切りもそのまま使えるとは限らない
居抜き物件では、前の店舗が使用していた間仕切り壁や個室が残っていることがあります。
既存の壁をそのまま利用できれば、新しくつくる工事を減らせる可能性があります。
ただし、新しい店舗のレイアウトに合っているかどうかは別の問題です。
個室の位置は使いやすくても、エアコンや換気設備が不足していたり、必要な場所にコンセントがなかったりすることがあります。
また、前の店舗では問題のなかった部屋でも、新しい用途では防音性や設備条件が不足する場合があります。
既存間仕切りを利用するときは、「壁が残っているから使う」のではなく、新しい店舗の使い方に合っているかを確認することが大切です。
間仕切り変更は小さな改装でも設備工事につながることがあります
既存店舗の一角へ個室を一室追加するだけなら、大掛かりな改装ではないように見えます。
しかし実際には、間仕切りの位置によって照明を移動したり、コンセントを追加したり、空調や消防設備を調整したりすることがあります。
そのため、「壁一本だからすぐできる」と考えて工程を決めると、想定より工事範囲が広がる場合があります。
営業しながら間仕切りを変更する場合は、壁をつくる作業だけでなく、設備工事や仕上げ工事を含めて、どこまで営業中にできるかを確認します。
小規模なレイアウト変更でも、まず現地の設備状況を確認してから工事範囲を決めることがポイントです。
まとめ
店舗の間仕切り工事では、単に壁の位置やデザインを決めるだけでなく、周囲の設備や店舗の使い方まで含めて考える必要があります。
- まず何のために空間を仕切るのか整理する
- 天井まで壁をつくるかどうかを決める
- 空調、換気、照明の位置を確認する
- 消防設備への影響を確認する
- 防音は壁だけでなく天井や扉まで考える
- 扉の位置や開き方を動線と一緒に確認する
- 将来のレイアウト変更も考えて間仕切り方法を選ぶ
特に既存店舗へ個室を追加する場合は、壁工事よりも周辺設備の変更が工事内容を左右することがあります。
カネケンでは、新規出店時のレイアウト工事だけでなく、営業中の店舗における間仕切り追加やレイアウト変更などの部分改修にも対応しています。
「個室を一室増やしたい」「売場とバックヤードを分けたい」「今ある間仕切りを移動できるか確認したい」といった段階でも、既存設備との関係を確認しながら工事内容を整理できます。店舗の新規出店・改装をご検討の際は、お気軽にご相談ください。