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2026-09-16

店舗の換気工事で失敗しない7つのポイント|給気・排気・ダクトを施工会社が解説

店舗の内装工事を考えるとき、「エアコンが付いているから換気も問題ない」「換気扇を付ければ大丈夫」と思われることがあります。ただ、空調と換気は同じものではありません。空調は主に室内の温度を整えるための設備ですが、換気は室内の空気を外へ出し、外から新しい空気を取り入れるための設備です。飲食店の厨房はもちろん、美容室、クリニック、オフィス、物販店などでも、店舗の使い方に合わせて換気を考える必要があります。さらに、換気設備は「排気すること」だけを考えればよいわけではありません。外へ空気を出すなら、その分だけ新しい空気をどこから入れるのかも考える必要があります。この記事では、店舗の換気工事を計画するときに確認しておきたい7つのポイントを、施工会社の視点で整理します。

黒い天井に角型の設備開口とダウンライトが並ぶ店内——奥の壁面什器、中央の木の平台什器、ヘリンボーンの床(当社施工・カフェ/東京都台東区・浅草)店舗の換気工事で失敗しない7つのポイントの図解——①空調と換気を同じものと考えない・②排気だけでなく「給気」を考える・③においが出る場所と出ない場所を分ける・④ダクトをどこへ通せるか確認する・⑤換気扇の位置はレイアウトと一緒に決める・⑥音と外部への影響も確認する・⑦商業施設では建物側の換気設備を確認する

① 空調と換気を同じものと考えない

まず確認したいのが、空調と換気の違いです。店舗に業務用エアコンが設置されていると、「空気が動いているから換気もできている」ように感じることがあります。しかし、エアコンは室内の空気を冷やしたり暖めたりしながら循環させるものが多く、必ずしも外気との入れ替えを行っているわけではありません。

そのため店舗を計画するときは、次の2つを分けて確認します。

  • エアコンはどうするか
  • 換気設備はどうするか

特に居抜き物件では、既存エアコンが残っていても、換気設備まで新しい店舗の使い方に合っているとは限りません。「空調設備あり」という物件情報だけで判断せず、換気設備がどのようになっているかまで確認してください。

建築基準法でも居室の換気について規定があり、開口部または換気設備によって適切な空気環境を確保する考え方が示されています。実際に必要となる設備は建物・用途・計画条件によって異なるため、設計段階で確認が必要です。

② 排気だけでなく「給気」を考える

換気というと、「店内の空気を外へ出す」ことをイメージすると思います。しかし、空気を外へ排出すれば、その分どこかから新しい空気が入らなければなりません。これが給気です。排気設備だけを強くして給気が不足すると、

  • 入口の扉が重く感じる
  • 扉を開けると強く風が入る
  • 隙間から空気が流れ込む

といったことが起こる場合があります。特に厨房など大量に排気する場所では、排気量だけではなく給気とのバランスを考えることが重要です。換気計画では、「どれだけ出すか」と「どこから入れるか」をセットで考えるようにしてください。

③ においが出る場所と出ない場所を分ける

店舗の中には、同じ換気条件で考えないほうがよい場所があります。

  • たとえば飲食店なら厨房と客席
  • 美容室なら薬剤を扱う場所と待合スペース
  • オフィスなら執務室と給湯室

トイレも独立した換気を考える場所のひとつです。においや熱、湿気などが発生する場所から、ほかのスペースへ空気が流れてしまうと、「客席まで厨房のにおいが来る」「店舗入口までにおいが広がる」といったことがあります。

そのため換気計画では、店舗全体を一つの空間として考えるだけではなく、どこで空気を取り入れ、どこから排出するかという空気の流れを見ることが大切です。レイアウトを変更して個室を増やす場合も、壁をつくったことで既存の換気が効きにくくならないか確認してください。

④ ダクトをどこへ通せるか確認する

機械換気を行う場合、換気扇やフードから外部までダクトを通すことがあります。ここで問題になるのが、ダクトのルートです。

  • 天井裏を通せるのか
  • 外壁へ出せるのか
  • 屋上まで持っていく必要があるのか
  • 既存ダクトを利用できるのか

ビルや商業施設では、ダクトを自由な場所へ通せるとは限りません。特に飲食店では、厨房の熱・煙・蒸気・においなどを排出するため、物件契約前から排気ルートを確認することが重要です。既存の「店舗物件の契約前に確認したい設備条件」でも、飲食店ではダクトルートが物件選びを左右するポイントとして紹介しています。

「換気設備はあとから付ければよい」と考えず、物件の段階で外部までの経路を確認することをおすすめします。

⑤ 換気扇の位置はレイアウトと一緒に決める

換気設備は、天井や壁の空いている場所へ付ければよいわけではありません。どこで空気が発生し、どこへ流したいのかによって位置を考えます。たとえば、においが発生する場所から離れた位置に排気口があると、においが店内を横切ってから外へ出ることになります。また、給気口と排気口が近すぎると、入ってきた空気が十分に室内を通らず、そのまま排出されるような計画になる場合もあります。そのため、

  • 厨房
  • 客席
  • 個室
  • バックヤード
  • 入口
  • 設備機器

などの位置を決めながら、換気設備も一緒に検討します。店舗レイアウトは家具や壁だけではなく、空調・換気・照明・消防設備を含めて考えることが大切です。

⑥ 音と外部への影響も確認する

換気設備を設置するときに見落としやすいのが、運転音です。換気扇や送風機は、機器によって音が発生します。静かなクリニックや相談スペースの近くに設備があると、運転音が気になることがあります。反対に屋外側では、

  • 排気口の位置
  • 機械の音
  • 厨房などから出るにおい

といった周辺への影響も考える必要があります。特に住宅が近い路面店や、ほかのテナントと隣接しているビルでは注意したいところです。

店舗内部だけを見て、「ちゃんと排気できているから問題ない」と判断するのではなく、排気された空気が最終的にどこへ出るのかまで確認してください。ダクトの出口や設備位置によっては、建物管理会社との調整が必要になることもあります。

⑦ 商業施設では建物側の換気設備を確認する

ショッピングセンター、駅ビル、百貨店などでは、換気設備が建物全体の設備とつながっている場合があります。そのためテナント側だけで、「換気扇をもう1台増やしたい」「排気量を増やしたい」と自由に変更できるとは限りません。施設側から、

  • 接続できるダクト
  • 給排気量
  • 接続位置
  • 施工方法
  • 工事業者

などを指定される場合があります。また、建物本体に関係する設備工事はB工事となることがあります。商業施設へ出店するときは、工事区分表や設備資料を施工会社へ早めに共有してください。内装会社から出るC工事見積だけで判断せず、建物側の換気工事まで含めた出店費用を見ることが重要です。

居抜き物件でも換気設備をそのまま使えるとは限らない

居抜き物件では、既存の換気扇やダクトが残っている場合があります。以前も同じような業種だったなら、そのまま使える可能性もあります。ただし、

  • 前の店舗と新しい店舗で人数が違う
  • 厨房機器が増える
  • 個室を新しくつくる
  • レイアウトが大きく変わる

という場合は条件も変わります。設備が残っているからといって、新しい店舗にも適しているとは限りません。また、既存設備の年式や状態も確認が必要です。「残っているものをすべて使う」のではなく、新しい店舗計画に合っている設備だけを活かすという考え方がおすすめです。

換気工事は天井を仕上げる前に決める

換気設備では、ダクトや配線など天井裏へ隠れる部分が多くあります。内装工事が完成してから、「この部屋にも換気を付けたい」となると、完成した天井を開けて工事をしなければならない場合があります。一方、工事前なら、

  • 照明
  • エアコン
  • 換気口
  • 消防設備
  • 点検口

などをまとめて配置できます。

換気工事は天井を仕上げる前に決める、という図解——工事前ならまとめて配置できるもの=照明・エアコン・換気口・消防設備・点検口。内装工事が完成してから換気を付けたくなると、完成した天井を開けて工事をしなければならない場合がある。完成後に見えるのは換気口だけでも、その裏側にはダクトや設備があることを前提に設計することが大切

天井はさまざまな設備が集まる場所です。既存記事「店舗内装の照明計画」でも、照明だけでなく空調・換気・消防設備を含めて天井全体の納まりを考えることを紹介しています。完成後に見えるのは換気口だけでも、その裏側にはダクトや設備があることを前提に設計することが大切です。

まとめ

店舗の換気工事では、換気扇を付けるだけではなく、店舗全体の空気の流れを考えることが重要です。確認したいポイントは次の7つです。

  • 空調と換気を分けて考える
  • 排気だけでなく給気も確認する
  • におい・熱・湿気が発生する場所を整理する
  • ダクトを外部まで通せるか確認する
  • レイアウトと換気設備を同時に計画する
  • 運転音や外部へのにおい・排気にも配慮する
  • 商業施設では建物側の設備条件・工事区分を確認する

店舗の換気設備は、完成写真ではほとんど目立ちません。しかし、営業を始めると、店内の空気環境やにおい、お客様・スタッフの過ごしやすさに関わる設備です。だからこそ、「換気扇があるか」ではなく、「店舗の使い方に合った空気の流れになっているか」という視点で計画することをおすすめします。

カネケンでは、クリニック・物販店・買取店・美容室・飲食チェーン・オフィスなど、店舗の新装・改装について、内装・設備を含む施工一式に対応しています。商業施設内・路面店のどちらにも対応しており、既存設備を活かした改装や設備更新などの部分工事も承っています。「この物件の換気設備で足りるか確認したい」「個室を増やした場合に換気工事が必要か知りたい」「飲食店の排気ダクトを通せるか物件契約前に確認したい」といった計画段階でも、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問

空調設備があれば、換気も足りていますか?
空調と換気は同じものではありません。空調は主に室内の温度を整えるための設備ですが、換気は室内の空気を外へ出し、外から新しい空気を取り入れるための設備です。エアコンは室内の空気を冷やしたり暖めたりしながら循環させるものが多く、必ずしも外気との入れ替えを行っているわけではありません。
排気設備を強くすれば換気は足りますか?
空気を外へ排出すれば、その分どこかから新しい空気が入らなければなりません。これが給気です。排気設備だけを強くして給気が不足すると、入口の扉が重く感じる、扉を開けると強く風が入る、隙間から空気が流れ込む、といったことが起こる場合があります。
居抜き物件の換気設備は、そのまま使えますか?
以前も同じような業種だったなら、そのまま使える可能性もあります。ただし、前の店舗と新しい店舗で人数が違う、厨房機器が増える、個室を新しくつくる、レイアウトが大きく変わる、という場合は条件も変わります。設備が残っているからといって、新しい店舗にも適しているとは限りません。

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