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2026-08-06

B工事・C工事とは|商業施設テナント工事の区分と、見積で戸惑わないための基本

商業施設やオフィスビルへの出店を進めると、必ず出てくるのが「A工事・B工事・C工事」という言葉です。結論から言うと、これは費用をだれが負担するかと工事業者をだれが決めるかの組み合わせで工事を分けた区分で、正確な線引きは施設ごとの「工事区分表」で決まります。初めての出店で戸惑いやすいポイントを、施工会社の視点で整理します。

A工事・B工事・C工事の基本

まず、一般的な整理から。ただし後述のとおり、実際の線引きは施設ごとに違います。ここでは考え方の骨組みとして見てください。

区分費用の負担業者を決める人対象になりやすいもの
A工事貸主(施設側)貸主建物の躯体、共用部、施設全体の設備
B工事テナント貸主防災設備、空調・給排水の幹線、分電盤まわりなど、建物の安全や他区画に関わる部分
C工事テナントテナント店舗内の内装仕上げ、造作、什器、サインなど

A工事は施設側の話なので、テナントが直接関わる場面は多くありません。出店の実務で向き合うのは、B工事とC工事の二つになるでしょう。

なお、施設によっては「甲工事・乙工事・丙工事」と呼ぶところもあります。呼び方が違っても、「費用をだれが持つか」「業者をだれが決めるか」の組み合わせで分けるという考え方は同じです。

戸惑いやすいのはB工事です

C工事は分かりやすい区分です。自分の店の内装を、自分で選んだ施工会社に頼む。費用も内容も、打ち合わせしながら自分で決められます。

一方のB工事は、費用はテナント負担なのに、業者は貸主が指定するという組み合わせです。つまり、複数の会社から見積を取って比べる、という普段の方法が使いにくい構造になっています。出店の計画段階で内装の予算だけを固めていて、あとからB工事の見積を見て慌てた——というお話は少なくありません。

ただ、この仕組みには理由があります。防災設備や建物の幹線設備は、施設全体の安全や保証に関わるため、建物をよく知る決まった業者が一貫して施工するほうが合理的なのです。仕組みそのものは受け入れたうえで、早く内容を把握することに力を使うのが現実的でしょう。

もう一つ知っておきたいのは、B工事の金額は物件の状態によって大きく変わることです。前のテナントと同じ業種で設備条件が近ければ小さく済むこともありますし、用途が変わって幹線から手を入れる場合は大きくなります。「坪いくら」のような目安が立てにくい費目なので、予算組みの段階では確定前の概算でよいから早めに聞く姿勢が大切です。

区分は施設ごとに違う——「工事区分表」が正です

注意したいのは、同じ工事項目でも施設によって区分が違うことです。たとえば空調でも、幹線までがBで室内機はC、という施設もあれば、空調一式がBという施設もあります。

だから、「前の出店ではCだったから今回もCのはず」という経験則や、一般論の解説記事だけで判断するのは危険です。基準になるのは、貸主から提示される工事区分表だけです。契約の前後に必ず提示されますので、できるだけ早い段階で取り寄せて、内容を確認してください。

出店スケジュールにも効いてきます

B工事・C工事の区分は、費用だけでなく工程にも関わります。

B工事は貸主側の段取りで進むため、依頼や承認が遅れると、テナント側では調整のしようがありません。開店日が決まっているのにB工事の日程が動かせず、C工事の工程を圧縮してしのぐ——という事態は、段取りの遅れから起きがちです。

また、商業施設の内装工事(C工事)は、路面店とは進み方が違います。作業できるのが閉店後の夜間に限られる施設は珍しくありませんし、搬入経路や養生のルール、騒音や火気を伴う作業の制限もある。多くの施設には内装監理室や工事事務局といった窓口があり、着工前に図面の承認を受け、工事後には施設の検査を受ける流れです。飲食店であれば保健所、規模や用途によっては消防の手続きも重なってきます。

開店日から逆算して工程を組むときは、C工事の工期だけで計算しないこと。B工事の発注時期と、図面承認や検査といった施設側の手続きの期間を含めて考えるのが安全です。

テナント側ができる準備

まだ物件を検討している段階なら、できることは一つです。候補物件の内見に、C工事を頼む予定の施工会社に同行してもらうか、物件資料を見てもらうこと。設備の状態から「この物件でこの業態をやると、B工事がどのくらい残りそうか」の見当がつきます。物件そのものの選び方は居抜きとスケルトンの記事に書きましたので、そちらをご覧ください。

契約が近づいてきたら、次の三つを進めておきましょう。

  • 工事区分表と物件図面を早く取り寄せる。すべての整理はここから始まります
  • C工事の施工会社に、区分表ごと見せる。内装の見積だけを依頼するより、「どこまでがB工事に残るか」を一緒に整理してもらうほうが、総額の見通しが早く立ちます
  • B工事の見積が出たら、内容を確認する。金額の妥当性を自分で判断するのは難しくても、C工事の範囲と重複がないかを確認することはできます。C工事側の施工会社に読み合わせを頼む方法もあります

なお、退去のときにも工事区分は関わってきます。原状回復でどこまで戻すかに直結しますので、原状回復の基本の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

  • A・B・C工事は「費用の負担」と「業者の決定権」の組み合わせによる区分です
  • 戸惑いやすいのはB工事。費用はテナント負担、業者は貸主指定という構造を先に知っておくと慌てません
  • 線引きは施設ごとに違います。判断の基準は工事区分表だけです
  • 工程は、C工事の工期だけでなくB工事と施設への申請を含めて逆算してください

カネケンは、百貨店・ショッピングセンター・駅ビルなどの商業施設内での施工を数多く手がけてきました。工事区分表の読み解きや、B工事・C工事の切り分けの整理は、出店計画の早い段階からお手伝いできます。物件資料や区分表をいただければ、C工事の概算を即日目安でご回答していますので、お気軽にご相談ください。

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