
① 空調能力は「坪数だけ」で決めない
エアコンを選ぶとき、「20坪だから、この広さ用の機種で大丈夫」と考えたくなります。しかし店舗の場合、同じ20坪でも必要な空調能力が同じとは限りません。たとえば、日当たりのよい路面店と、建物内部のテナントでは条件が違います。物販店と美容室でも違います。美容室ではドライヤーを複数台使用しますし、飲食店では厨房から熱が発生します。照明の数や店内にいる人数によっても、室内の温度環境は変わります。
そのため店舗の空調は、面積だけではなく、「その空間をどのように使うのか」まで含めて検討することが大切です。特に前のテナントと業種が変わる場合は、既存エアコンの能力が新しい店舗にも合っているとは限りません。
② 居抜きのエアコンは「動くか」だけで判断しない
居抜き物件では、天井カセット型などのエアコンが残っていることがあります。既存設備をそのまま使えれば、出店費用を抑えられる可能性があります。ただし、「スイッチを入れたら動いたから使える」だけで判断するのはおすすめできません。確認したいのは、
- 年式
- 現在の状態
- 店舗の広さや業種に合った能力か
- 室外機を含めて今後も使用できそうか
といった点です。古い設備をそのまま残した結果、オープンしてすぐに故障すると、営業中に交換工事をしなければならないことがあります。
③ 室外機の置き場所と配管ルートを確認する
店舗では室外機の設置場所も重要です。路面店なら建物の外部へ設置できる場合がありますが、ビルや商業施設では自由な場所へ置けるとは限りません。
- 屋上
- バルコニー
- 施設指定の室外機置場
など、建物ごとに条件が決められていることがあります。また、室内機と室外機をつなぐ配管のルートも必要です。室外機を置く場所はあるものの、そこまで配管を通しにくいというケースもあります。
新たに空調を増設したい場合は、「室内機をどこに付けるか」と同時に「室外機をどこへ置くか」を確認してください。物件契約前に設備条件を確認しておきたい理由のひとつです。
④ 間仕切りを増やすと空調の効き方も変わる
既存の広い空間を、受付。個室。会議室。バックヤード。などに分ける店舗は多くあります。ここで注意したいのが空調です。以前は一つの大きな部屋だったため問題なく空調できていても、壁をつくって複数の部屋へ分けると、それぞれの部屋へ十分に空気が届かなくなることがあります。
たとえば、室内機が売場側だけにあり、新しくつくった個室には吹出口がない。すると、店舗全体では空調能力が足りていても、その個室だけ暑い・寒いということが起こります。
レイアウト変更では、壁の位置。扉。家具。だけを見るのではなく、空調・換気・消防設備までまとめて確認することが大切です。店舗レイアウトを決めたあとに空調を考えるのではなく、レイアウトと設備を同時に検討するようにしてください。
⑤ 空調と換気は別の設備として考える
「エアコンを付ければ換気もできる」と思われることがありますが、店舗では空調と換気を分けて考える必要があります。空調は室内の温度を整えるための設備です。一方、換気設備は室内と外部の空気を入れ替えるためのものです。そのため、エアコンは十分効いているけれど、店内の空気がこもる。においが残る。ということもあります。
特に飲食店、美容室、クリニックなどでは、業種に合わせて換気も確認しておきたいところです。また、換気によって外気が入れば、その空気を冷やしたり暖めたりする必要があります。空調と換気は別の設備ですが、店舗全体の温度環境としては関係しています。どちらか一方だけを見るのではなく、店舗全体の設備計画として考えることがポイントです。
⑥ 天井のデザインと空調設備を一緒に考える
店舗内装では、「天井をすっきり見せたい」「照明をきれいに並べたい」という希望があります。ただ、店舗の天井には照明だけではなく、
- エアコン
- 空調の吹出口
- 換気口
- スプリンクラー
- 火災報知設備
- 点検口
など、さまざまな設備があります。内装デザインだけを先に決めると、あとから設備を配置したときに想定していた見た目にならないことがあります。
また、スケルトン天井にして配管やダクトを見せる場合でも、ただ設備を露出すればよいわけではありません。配管・ダクト・照明などの位置を整理して施工することで、完成時の見え方が変わります。既存コラムの照明計画でも、天井では空調や消防設備を含めて全体の納まりを考えることが重要としています。
⑦ メンテナンス・交換できる状態にしておく
空調設備は、内装と違って設置したら終わりではありません。使用していれば、清掃、点検、修理、将来的な交換が必要になります。そこで確認しておきたいのが、あとから設備へアクセスできるかということです。
たとえば天井内に機器や配管があるのに、必要な場所へ点検口がないと、メンテナンスの際に天井を開けなければならない場合があります。造作家具を設置した結果、設備へ近づけなくなることもあります。
完成時の見た目を優先しすぎて、設備を完全に隠してしまうのではなく、必要な部分は点検できるようにしておくことが大切です。空調は「設置して終わり」ではなく「数年後にも維持しやすいか」まで考えて計画してください。
空調工事は見積の範囲も確認する
店舗内装の見積では、空調工事の扱いが案件によって違います。
- 既存空調をそのまま利用する
- 室内機だけ移設する
- 新しいエアコンへ交換する
- 新規で増設する
- 商業施設の指定業者が施工する
など、さまざまなケースがあります。そのため見積を受け取ったときは、「空調工事が入っているか」だけではなく、「既存空調をどうする前提の見積なのか」まで確認してください。
特に商業施設やオフィスビルでは、空調設備がB工事となり、テナント側の内装会社とは別の指定業者が施工する場合があります。内装会社の見積だけを見て店舗全体の工事費を判断すると、あとから別途費用が出てくる可能性があります。
物件契約前に空調を見ると追加工事を減らしやすい
空調工事の費用を考えるうえで一番確認しやすいタイミングは、物件契約前です。
- 既存空調があるか
- 能力は希望する業態に合いそうか
- 室外機置場はあるか
- 増設できるか
- 建物側の設備なのか、テナント設備なのか
こうした条件が分かれば、出店後に必要になる空調工事を想定しやすくなります。現在のコラムでも、店舗物件は立地や家賃だけでなく、電気容量・給排水・空調・換気などの設備条件を契約前に確認することをおすすめしています。家賃が安い物件でも、空調設備をすべて新設する必要があれば、初期工事費は大きくなることがあります。物件選びでは、家賃と内装工事費を別々に考えないことが大切です。
まとめ
店舗の空調工事では、エアコンの有無だけではなく、店舗の使い方や建物条件まで含めて確認することが重要です。確認したいポイントは、次の7つです。
- ① 面積だけで空調能力を決めない
- ② 居抜きの既存空調は状態・年式・能力を見る
- ③ 室外機の設置場所と配管ルートを確認する
- ④ 間仕切り変更と空調を一緒に考える
- ⑤ 空調と換気を分けて考える
- ⑥ 天井デザインと設備配置を同時に検討する
- ⑦ 将来の点検・交換ができる状態にする
店舗の空調は、完成写真ではほとんど目立ちません。しかし、営業が始まれば、お客様とスタッフが毎日使う重要な設備です。だからこそ、見た目だけではなく、店舗の使い方・設備条件・将来のメンテナンスまで含めて計画することをおすすめします。
カネケンでは、クリニック・物販店・買取店・美容室・飲食チェーン・オフィスなどの店舗について、内装だけでなく設備を含めた施工一式に対応しています。既存設備を活かす改装や、設備更新などの部分工事にも対応しています。「既存エアコンをそのまま使えるか確認したい」「レイアウト変更で空調工事が必要か知りたい」「物件契約前に設備を含めた概算を確認したい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。