店舗レイアウトは「お客様」と「スタッフ」の両方から考える
店舗レイアウトというと、「お客様が店内をどう歩くか」を最初に考える方が多いと思います。もちろん、それも重要です。ただ、実際の店舗では、お客様だけでなくスタッフも一日中店内を動いています。商品を補充する。レジへ移動する。バックヤードへ商品を取りに行く。飲食店なら料理を運び、食器を下げる。美容室なら受付からセット面、シャンプー台へ移動する。
このようなスタッフ動線が長かったり、途中でお客様の動線と何度も交差したりすると、営業効率が落ちてしまいます。そのためレイアウトを考えるときは、お客様の動線+スタッフの動線——この2つを図面上で確認することが大切です。
① 入口から店内をどう見せるか
まず確認したいのが入口です。お客様が店舗の前を通ったとき、店内のどこまで見えるでしょうか。入口付近に大きな什器や壁を置くと、店内が見えにくくなることがあります。反対に、入口から店内が見渡せるようにすると、お客様が入りやすい店舗になる場合もあります。
ただし、業種によって考え方は変わります。物販店なら商品を見せたい。買取店やクリニックなら、店内が外から見えすぎないほうがよい。美容室でも、セット面が道路から丸見えになることを避けたいケースがあります。つまり、「入口からよく見えること」が必ず正解とは限りません。どこまで見せて、どこから隠すか。これを最初に決めると、入口まわりのレイアウトが考えやすくなります。
② お客様の動線に行き止まりをつくらない
店舗内では、お客様が自然に移動できる流れをつくることが大切です。たとえば物販店で、入口から商品棚へ進んだものの、その先が壁で行き止まり。戻ろうとすると別のお客様とすれ違いにくい。こうしたレイアウトでは、店内を回りにくくなります。
特に狭い店舗ほど、什器を多く置きたくなります。しかし、売場を増やすために棚を詰め込みすぎると、結果として店内が歩きにくくなることがあります。レイアウト図を見るときは、什器そのものではなく、「人がどこを歩くか」を線で描いてみてください。入口から入って、商品を見る。相談する。会計する。出口へ戻る。この一連の流れが自然につながっているかを見るだけでも、問題点が見つけやすくなります。
③ レジの場所は「最後」に決めない
店舗レイアウトで意外と重要なのがレジの位置です。レジは単に会計をする場所ではありません。業種によっては、
- お客様への案内
- 電話対応
- 商品の受け渡し
- 予約確認
- 伝票や書類の管理
- スタッフの待機場所
など、店舗運営の中心になります。そのため、空いた場所に最後にレジを置くという考え方はおすすめしません。たとえば入口のすぐ横にレジを置くと、お客様を迎えやすくなります。一方で、入口が狭い店舗では、会計待ちのお客様と入店するお客様が重なってしまうことがあります。また、スタッフがバックヤードへ頻繁に移動する店舗なら、レジとバックヤードが離れすぎていると移動距離が長くなります。レジをどこに置くかは、店全体の動線を決める要素のひとつと考えてください。
④ バックヤードを削りすぎない
売場面積をできるだけ広く取りたい。これは多くの店舗で共通する希望です。その結果、削られやすいのがバックヤードです。しかし、営業が始まってから、「段ボールを置く場所がない」「スタッフの荷物が収まらない」「在庫が売場にはみ出している」ということになると、せっかくきれいにつくった店舗が使いにくくなります。バックヤードには、
- 在庫
- 梱包材
- 清掃道具
- スタッフの私物
- 事務用品
- 予備の備品
- ゴミの一時保管
など、営業を始めると想像以上に物が集まります。レイアウトを決める前に、営業時に店舗内へ置く物を一度書き出してみることをおすすめします。売場だけでなく、「見えない部分」を先に考えておくことが、使いやすい店舗につながります。
⑤ 設備の位置を無視してレイアウトを決めない
理想のレイアウトを先に決めても、物件の設備条件によって実現しにくい場合があります。特に影響しやすいのが、
- 給排水
- 電気
- 空調
- 換気
- 既存の配管やダクト
です。たとえば美容室で、「入口から一番奥にシャンプー台を置きたい」と考えていても、排水の位置によっては床を上げる工事が必要になることがあります。飲食店なら、厨房を置きたい場所と排気ダクトのルートが合わないこともあります。コンセントについても同じです。レジ、パソコン、美容機器、厨房機器など、必要な場所に必要な電源がなければ追加工事が必要になります。
だからこそ、レイアウトはデザインだけで決めるのではなく、物件の設備条件と一緒に考えることが重要です。物件契約前に施工会社へ相談しておくと、このあたりも早い段階で確認できます。設備条件の確認ポイントは店舗物件の設備条件の記事で詳しく解説しています。
⑥ 「今の営業」だけでなく将来の変更も考える
開店時には問題のないレイアウトでも、数年後に使い方が変わることがあります。商品数が増える。スタッフが増える。受付方法が変わる。機器を増設する。新しいサービスを始める。こうした変化は珍しくありません。
そのため、すべてを造作家具で固定してしまうより、場所によっては移動できる什器を使ったほうが使いやすい場合があります。特に商品棚や収納は、店舗運営を始めてから配置を変えたくなることがあります。「絶対に動かさない部分」と「あとで変えられる部分」を分けて考えると、将来的な改装費も抑えやすくなります。造作は見た目がきれいで、店舗にぴったり合わせてつくれるメリットがあります。一方で、既製什器や可動式の家具にも、変更しやすいというメリットがあります。すべてを造作にする必要はありません。
⑦ 図面だけでなく実際の寸法をイメージする
レイアウト図を見ると、「十分広そう」と感じることがあります。しかし、実際に壁やカウンター、商品棚ができると、想像より狭く感じることは珍しくありません。特に確認したいのが、
- カウンターの高さ
- 通路の幅
- 棚の奥行き
- 椅子を引いたときのスペース
- 扉を開けたときのスペース
- スタッフ同士がすれ違う場所
です。図面では数センチの違いに見えても、毎日使う店舗では使い勝手に影響します。可能であれば、工事前にメジャーを使って実際の寸法を確認してみてください。床にテープを貼り、「ここまでがカウンター」「ここに棚が来る」と実寸で確認する方法もあります。図面を「見る」だけでなく、実際の大きさを体感することで、完成後のイメージとの差を減らせます。
レイアウト変更は着工前に決めるのが一番です
店舗内装工事では、途中で変更ができないわけではありません。ただし、工事が進むほど変更にかかる費用と時間は増えていきます。まだ図面の段階なら、壁を20cm動かすことも比較的簡単です。ところが、壁をつくり、電気配線を通し、床や天井まで仕上がったあとでは、同じ変更でも工事をやり直す必要があります。
そのため、「少し迷っているけれど、とりあえず工事を始めよう」という進め方はおすすめしません。店舗内装工事の流れの記事でもお伝えしていますが、変更するなら着工前です。工事を早く始めることより、レイアウトをきちんと固めてから始めることのほうが、結果として工期も予算も安定します。
まとめ
店舗レイアウトを考えるときは、見た目だけでなく営業時の使いやすさまで想像することが大切です。
- お客様とスタッフ、両方の動線を見る
- 入口からどこまで店内を見せるか考える
- お客様の動線に行き止まりをつくらない
- レジの位置を早めに決める
- バックヤードを削りすぎない
- 設備条件とレイアウトを一緒に考える
- 将来変更できる部分を残しておく
- 実際の寸法をイメージして確認する
店舗は、完成した日よりも、そのあと使う時間のほうが圧倒的に長いものです。だからこそ、写真で見たときのデザインだけでなく、「毎日使いやすいか」という視点でレイアウトを考えてみてください。
カネケンでは、クリニック・買取店・サロン・物販店・飲食チェーン・オフィスなど、さまざまな業種の店舗内装工事に対応しています。物件図面をいただければ、レイアウトの考え方や設備条件を含め、出店計画の早い段階からご相談いただけます。「この物件で希望するレイアウトができるか」「契約前に一度図面を見てほしい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。概算のご相談は無料・即日目安でご回答します。