
① まず「何をインターネットにつなぐか」を整理する
最初に確認したいのは、店舗で使用する通信機器です。たとえば物販店なら、
- POSレジ
- 決済端末
- パソコン
- プリンター
- 防犯カメラ
- デジタルサイネージ
美容室なら、予約管理用のタブレットやレジ、スタッフ用端末などを使用することがあります。オフィスなら、パソコン、複合機、電話、会議室のモニターなど、さらに接続する機器が増えます。
機器を設置してから通信方法を考えるのではなく、レイアウトを決める段階で、「どこに、何の機器を置き、どのように通信させるのか」を整理しておくことが大切です。
② Wi-Fiだけでよい機器と、有線LANを使う機器を分ける
店舗内をすべてWi-Fiにすれば、LAN配線はいらないようにも思えます。ただ、すべての機器を同じ方法で接続する必要はありません。スマートフォンやタブレットなど、移動しながら使う機器はWi-Fiが便利です。一方で、POSレジや業務用パソコン、ネットワーク機器などでは、システム側から有線LANによる接続を指定・推奨される場合があります。
どちらがよいかは機器によって違うため、「全部Wi-Fiにする」「全部LANを引く」と最初から決めるのではなく、使用する機器の仕様を確認してください。特に営業へ直接影響する機器は、メーカーやシステム会社が指定している通信条件を施工前に確認することをおすすめします。
③ 回線の引込位置とルーターを置く場所を確認する
インターネットを利用するためには、店舗まで通信回線を引き込みます。ここで確認したいのが、
- 回線がどこから入ってくるのか
- ONUやルーターなどの機器をどこへ置くのか
という点です。バックヤードの収納内へまとめる場合もありますが、扉を閉めた収納の奥へ何となく置けばよいとは限りません。
- 機器の点検や交換ができること
- 電源があること
- そこから各LAN配線を通せること
- Wi-Fi機器との関係
なども確認します。内装工事が進んでから位置を決めるより、平面図上で通信機器を置く場所を先に決めておくほうが配線を整理しやすくなります。
④ Wi-Fi機器は「店舗の真ん中に1台」で決めない
Wi-Fiの機器を設置するとき、「だいたい中央に1台あれば大丈夫だろう」と考えることがあります。ただ、電波の届き方は店舗の広さだけでは決まりません。
- 壁や扉
- 什器
- 棚
- バックヤード
- 個室
- 店舗の形
などによって変わります。特に間仕切りの多い店舗では、売場では問題なく使えるのに、個室やバックヤードへ入ると接続しにくくなることがあります。反対に、小さな店舗で必要以上に機器を増やす必要もありません。
Wi-Fiの設置位置は、空間が完成してから考えるのではなく、壁や什器を含めたレイアウトを見ながら計画することがポイントです。
⑤ 電源とLAN配線は一緒に決める
通信機器には、多くの場合電源も必要です。レジまわりを考えてみると、
- POSレジ
- 決済端末
- プリンター
- パソコン
- ルーター
- 電話
など、電源と通信の両方が必要になる機器が集まりやすくなります。LANの差込口はあるのにコンセントが足りない。コンセントはあるのに通信配線が来ていない。という状態では使いにくくなります。
そのため店舗内装では、電気図面と通信設備を別々に確認するのではなく、「ここで何を使うか」を基準に、電源と通信をセットで考えることをおすすめします。完成後に延長コードや長いLANケーブルを床へ這わせる状態を減らすことにもつながります。
⑥ お客様用Wi-Fiと業務用ネットワークは分けて考える
カフェやクリニックの待合、ショールームなどでは、お客様向けにWi-Fiを提供することがあります。この場合に注意したいのが、店舗スタッフが使用する業務用ネットワークとの関係です。
お客様用Wi-Fiと、
- POSレジ
- 業務用パソコン
- 社内システム
などを何となく同じ環境で使用するのではなく、ネットワーク構成やセキュリティについてIT担当者・通信事業者などと確認することが大切です。総務省も、公衆Wi-Fiを提供する企業・施設向けに、安全なWi-Fi環境のためのセキュリティ対策をまとめた手引きを公開しています。
店舗内装会社だけで決められない部分については、システム会社や通信事業者と情報を共有しながら進めるとスムーズです。
⑦ 将来の機器追加まで少し考えておく
店舗はオープンしたときの状態のまま使い続けるとは限りません。
- レジを増やす
- 防犯カメラを追加する
- デジタルサイネージを設置する
- スタッフ用パソコンを増やす
- レイアウトを変更する
といったことがあります。そのたびに壁や天井を開けて配線工事をするのは大変です。将来的に機器を追加する可能性が高い場所があれば、あらかじめ配管や配線ルートを考えておく方法もあります。
特に多店舗展開では、
- レジ位置
- 通信機器の設置場所
- LAN差込口
- Wi-Fi機器
などをある程度標準化しておくと、次の店舗でも設備計画を進めやすくなります。
インターネット回線の手配は内装工事と別に進める
もうひとつ注意したいのが、通信回線そのものの申し込みです。内装工事会社へ店舗工事を依頼したからといって、インターネット回線の契約まで自動的に完了するとは限りません。通信事業者との契約や開通工事が別途必要になる場合があります。
店舗が完成したのに、「インターネットが開通していないのでレジが使えない」という状態では営業開始に影響します。そのためオープン日が決まったら、
- 内装工事
- レジ・POSシステム
- 電話
- インターネット回線
- 各種機器の設定
をそれぞれ誰が手配するのか整理してください。店舗の完成日ではなく、実際に営業できる日から逆算することが大切です。商業施設では、建物側の工事区分によって手配の分かれ方も変わるため、「A工事・B工事・C工事」の区分とあわせて確認しておくと整理しやすくなります。
通信配線は内装が完成する前に決める
LANケーブルや通信配線は、天井裏や壁の中へ通すことがあります。内装工事中なら比較的きれいに配線しやすいものでも、完成後に追加すると、
- 壁へ露出配線が出る
- モールが増える
- 天井を開ける
- 家具の裏へ無理に配線する
といったことがあります。
これは、既存のオフィス移転の記事で「電源とLANは家具を置く前に決める」と紹介している理由でもあります。レイアウトが決まったら、家具だけを見るのではなく、その場所で使う電気・通信・設備まで重ねて確認するようにしてください。天井裏は換気のダクトや空調の配管も通る場所なので、通信配線だけを別に考えないほうが納まりを整理しやすくなります。
まとめ
店舗のLAN・Wi-Fi・通信設備では、「あとでWi-Fiをつなげればよい」と考えず、内装設計と一緒に計画することが大切です。確認したいポイントは次の7つです。
- 使用する通信機器を整理する
- Wi-Fiと有線LANを使い分ける
- 回線の引込位置と通信機器の設置場所を決める
- 壁や什器を考慮してWi-Fi機器を配置する
- 電源と通信配線を一緒に考える
- お客様用Wi-Fiと業務用ネットワークを分けて検討する
- 将来の機器追加も考える
通信設備は、店舗の完成写真ではほとんど目立ちません。しかし、営業を始めるとPOSレジや決済、予約管理、業務用パソコンなどを支える重要な設備になります。だからこそ、店舗が完成してから考えるのではなく、レイアウトと使用機器が決まる段階で通信環境も確認することをおすすめします。物件を検討している段階であれば、「店舗物件の契約前に確認したい設備条件」もあわせてご覧ください。
カネケンでは、クリニック・物販店・買取店・美容室・飲食チェーン・オフィスなどの店舗について、設計から施工までの一括対応のほか、設計事務所・デザイン会社様の図面からの施工にも対応しています。図面や現況写真がある段階から概算の相談も可能です。「レジや機器の位置まで含めてレイアウトを考えたい」「内装工事前に電源や通信配線の位置を整理したい」「多店舗で設備仕様をそろえたい」といった計画段階でも、お気軽にご相談ください。