美容室は一般的な物販店より設備工事が多い
美容室の内装工事には、一般的な店舗と共通する工事も多くあります。床、壁、天井、照明、カウンター、サインなどです。一方で、美容室ならではの設備もあります。代表的なのがシャンプー台です。シャンプー台には給水・給湯・排水が必要になります。さらに、セット面ではドライヤーや美容機器を使用し、店舗全体では空調や換気も必要です。
そのため美容室は、単純に「何坪だから工事費はいくら」と考えるより、何席つくるか、シャンプー台を何台設置するか、既存設備をどこまで使えるかによって工事内容が変わります。物件を決める前から設備条件を確認しておくことが大切です。
① シャンプー台は排水位置から考える
美容室のレイアウトで、特に重要なのがシャンプー台の位置です。デザインだけで考えれば、「店の奥にシャンプースペースをまとめたい」「半個室にして落ち着いた空間にしたい」といった希望があると思います。ただし、シャンプー台はどこにでも自由に置けるとは限りません。
ポイントになるのが排水です。排水管は水が流れるように勾配を確保する必要があるため、既存の排水位置から離れるほど、床下のスペースが必要になる場合があります。場合によっては床を上げて配管スペースをつくることもあります。床を上げれば、その分工事費がかかるだけでなく、入口との段差や天井高さにも影響します。そのため、美容室のレイアウトはセット面から決めるのではなく、まずシャンプー台と給排水の位置を確認してから全体を組み立てるとスムーズです。
② 給湯設備までセットで確認する
シャンプー台では水だけでなく、お湯を使用します。そこで必要になるのが給湯設備です。既存の給湯器が残っている居抜き物件なら、そのまま利用できる可能性もあります。ただし、「給湯器が付いているから使える」と決めつけるのはおすすめできません。年式や状態、能力、シャンプー台の台数などを確認する必要があります。
以前の店舗ではシャンプー台が2台だった場所に、新しく4台設置するのであれば、設備条件も変わります。居抜き物件は設備を再利用できれば工事費を抑えやすい反面、既存設備の状態を確認せず計画すると、工事途中で交換が必要になることがあります。
③ ドライヤーを使うセット面は電気容量に注意
美容室では、ドライヤーやヘアアイロン、美容機器などを同時に使用します。そのため、セット面を増やす場合はコンセントの数だけでなく、店舗全体の電気容量も確認しておきたいところです。たとえばセット面が6席あれば、混雑する時間帯には複数のドライヤーを同時に使う可能性があります。そこにエアコン、照明、給湯設備、その他の機器も加わります。
内装工事では必要な場所へコンセントを増設できますが、建物から店舗区画へ供給されている電気そのものに余裕がなければ、別の検討が必要になることがあります。特に、以前が美容室ではなかった物件を美容室へ変更する場合は、契約前に電気容量を確認しておくと安心です。設備条件の確認ポイントは店舗物件の設備条件の記事でも詳しく解説しています。
④ スタッフ動線を短くする
美容室では、一人のお客様に対してスタッフが何度も店内を移動します。受付からセット面へ案内する。シャンプー台へ移動する。タオルや薬剤を取りに行く。再びセット面へ戻る。会計をする。この動線が長いと、一日に何度も余分な移動が発生します。
特に注意したいのが、セット面・シャンプー台・バックヤードの位置関係です。バックヤードを店の隅に余ったスペースとして配置すると、スタッフが何度も店舗を横断するレイアウトになることがあります。図面を見るときは、家具や壁だけを見るのではなく、スタッフが営業中に歩くルートを線で描いてみることをおすすめします。動線が交差しすぎていないか、狭い場所にスタッフが集中しないかを確認すると、営業後の使いやすさをイメージしやすくなります。動線の考え方は店舗レイアウトの記事でも整理しています。
⑤ 収納は完成後に増やすより最初に考える
美容室では、想像以上に収納スペースが必要になります。タオル、薬剤、カラー剤、シャンプー、掃除道具、スタッフの荷物、事務用品、消耗品。営業を始めると、さまざまな物が店舗内に増えていきます。ところが、設計段階では売場やセット面を広く取りたいと考え、収納を削ってしまうケースがあります。結果として、オープン後に市販の棚や収納ケースを追加し、せっかく統一した内装デザインが崩れてしまうこともあります。
店舗づくりでは、見せる場所だけでなく、「何を、どこに、どのくらい収納するか」を最初に考えておくことが大切です。造作家具ですべてつくる必要はありません。見える場所は造作、バックヤードは既製品というように、予算に合わせて使い分ける方法もあります。
⑥ 空調は既存設備をそのまま使えるとは限らない
居抜き物件では、エアコンが残っている場合があります。空調設備が付いていると、その分工事費を抑えられそうに見えます。ただし、確認したいのは「付いているか」ではなく「今後も使えるか」です。古い空調設備であれば、オープン後すぐに故障する可能性もあります。また、以前の店舗と新しい美容室では、店内の使い方や人数が違うこともあります。
既存空調を利用する場合は、設備の状態や能力を確認したうえで判断することが大切です。空調設備の交換は、内装が完成してから行うより、工事中にまとめて行ったほうが施工しやすいケースもあります。「今動いているから残す」だけではなく、数年先まで考えて判断しましょう。
⑦ 居抜きだから必ず安くなるとは限らない
美容室の物件探しでは、美容室の居抜き物件が見つかることがあります。シャンプー台、給排水、鏡、セット面、空調などが残っていれば、スケルトンからつくるより工事費を抑えられる可能性があります。一方で、設備が古い、希望する席数と合わない、レイアウトを大きく変えたい、内装デザインを全面的に変更したい、といった場合は、既存設備を撤去してやり直すことになります。撤去にも費用がかかるため、結果として思ったほど安くならないこともあります。
居抜き物件を見るときは、「何が残っているか」だけではなく、「残っているものの中で、本当に使うものは何か」を確認してください。既存設備を活かせる部分と新しくつくる部分を整理すると、予算の考え方が分かりやすくなります。居抜きとスケルトンの違いはこちらの記事で詳しく解説しています。
美容室の内装工事は物件契約前の確認が重要
美容室の内装工事費は、物件を契約したあとだけで決まるものではありません。むしろ、物件が持っている設備条件によって大きく左右されます。排水位置はどこか。電気容量は十分か。給湯設備は使えるか。空調は残せるか。既存の内装をどこまで利用できるか。これらを確認せず物件を契約すると、あとから必要な工事が増える可能性があります。
可能であれば、物件契約前に図面や設備資料を施工会社へ見てもらうことをおすすめします。内見に同行してもらえば、出店後のレイアウトをイメージしながら設備条件も確認できます。
まとめ
美容室の内装工事では、デザインと同じくらい設備と動線が重要です。確認しておきたいポイントは次の7つです。
- シャンプー台は排水位置から考える
- 給湯設備の能力や状態を確認する
- セット面の数に合わせて電気容量を見る
- セット面・シャンプー台・バックヤードの動線を考える
- 収納スペースを削りすぎない
- 既存空調が本当に使えるか確認する
- 居抜き設備をどこまで利用するか判断する
美容室は、完成したときの見た目だけでなく、その後毎日スタッフが使いやすい空間になっていることが大切です。
カネケンでは、美容室・サロンの内装工事について、設計・デザインから施工まで一括でのご相談はもちろん、デザイナー・設計会社様が作成した図面からの施工にも対応しています。シャンプー台の給排水、電気容量、換気・空調など、美容室特有の設備条件も含めて計画します。「この物件で美容室をつくれるか確認したい」「居抜き設備をどこまで使えるか見てほしい」といった物件検討段階でも、お気軽にご相談ください。概算のご相談は無料・即日目安でご回答します。