
① バックヤードの広さは「残った面積」で決めない
店舗では、できるだけ売場を広くしたいと考えるのが自然です。
その結果、売場や個室などを先に配置し、最後に残ったスペースをバックヤードにするケースがあります。
ただし、バックヤードに必要な広さは、店舗の面積だけでは決まりません。
たとえば同じ20坪の店舗でも、在庫をほとんど持たないサービス店舗と、多くの商品を保管する物販店では必要なバックヤードの広さが違います。
まず確認したいのは、
- どのくらいの商品や備品を保管するか
- 納品された商品をどこに置くか
- スタッフが何人入るか
- 事務作業を行うか
- 着替えや休憩に使用するか
といった実際の使い方です。
売場とバックヤードの割合に決まった正解があるわけではありません。
店舗ごとの運営方法を整理したうえで、必要な面積を検討することが大切です。
② 収納は「量」だけでなく出し入れまで考える
バックヤードでは、できるだけ多く収納できるように棚を増やしたくなります。
ただ、収納量だけを優先すると、実際には使いにくくなることがあります。
たとえば棚を高くしすぎれば、上段の商品を取るたびに脚立が必要になります。
棚と棚の間隔を狭くすれば収納量は増えますが、段ボールを持ったまま通りにくくなるかもしれません。
また、頻繁に使う備品と、ほとんど使わない予備品を同じ場所に収納すると、毎日の作業効率も下がります。
バックヤードの収納は、
- 毎日使うもの
- 営業中に補充するもの
- 定期的に使用するもの
- 長期保管するもの
などに分けて考えると整理しやすくなります。
よく使うものは取り出しやすい位置に置き、使用頻度の低いものは上段や奥へ配置するなど、営業中の動きを想定して計画します。
③ 売場との動線をできるだけ短くする
バックヤードは広さだけでなく、店舗のどこに配置するかも重要です。
たとえば商品の補充が多い店舗で、バックヤードから売場までの距離が長いと、スタッフが何度も店舗内を往復することになります。
レジで使用する備品を取りに行くたびに、お客様の動線を横切らなければならないレイアウトも使いやすいとはいえません。
反対に、バックヤードの出入口を増やせばよいとも限りません。
扉が増えることで商品棚を置ける壁面が減ったり、お客様からバックヤード内部が見えやすくなったりすることがあります。
「どこから入るか」だけではなく、
- 商品の補充
- レジとバックヤードの往復
- スタッフの出入り
- 清掃用品の持ち運び
など、実際の業務を想定しながら動線を確認することがポイントです。
④ 搬入から保管までの流れを考える
商品や備品を定期的に納品する店舗では、搬入動線も確認しておきたいところです。
商品が届いたときに、
搬入口 → 店舗入口 → 売場 → バックヤード
というように、お客様がいる売場を通って運ばなければならない場合があります。
商業施設では、一般のお客様が利用する入口とは別に、従業員用通路や搬入口が指定されていることもあります。
大きな段ボールや台車を使用するのであれば、途中に狭い扉や段差がないかも確認します。
また、バックヤードへ荷物を入れた直後に仕分けする場所がないと、段ボールが入口付近に積み上がってしまうことがあります。
保管棚だけを考えるのではなく、
「荷物が届く → 店内へ運ぶ → 開梱する → 仕分ける → 棚へ収納する」
という流れまで考えておくと、営業中の作業もしやすくなります。
⑤ 電源・LANなどの設備を忘れない
バックヤードは収納スペースとして考えられがちですが、実際にはさまざまな機器を使用します。
たとえば、
- パソコン
- プリンター
- 電話
- ルーター
- 充電器
- 防犯カメラの機器
- 冷蔵庫などの家電
を置く場合があります。
そのため、必要な位置にコンセントやLAN配線があるかを事前に確認します。
完成してから「パソコンを置く場所に電源がない」と分かると、延長コードを使用したり、追加で配線工事をしたりすることになります。
特にルーターや通信機器をバックヤードへまとめる場合は、売場側のレジやWi-Fi機器までどのように配線するかも考える必要があります。
バックヤードのレイアウトが決まったら、棚や机だけではなく、その場所で使用する設備も図面上で確認することが大切です。
⑥ 空調・換気も売場と分けて確認する
バックヤードは、お客様が長時間滞在しないため、空調や換気が後回しになることがあります。
ただし、スタッフが事務作業をしたり、商品の整理をしたりする場所であれば、一定の時間を過ごすことになります。
売場にエアコンがあるからといって、バックヤードまで同じように空調が届くとは限りません。
特に天井まで間仕切り壁を立ててバックヤードをつくる場合、もともと一つだった空間が分かれることで、空調や換気の状態が変わります。
また、冷蔵庫や複合機など、熱を発生する機器を置くこともあります。
バックヤードを計画するときは、壁の位置とあわせて、
- 空調が届くか
- 換気できるか
- 熱がこもらないか
といった点も確認しておきます。
⑦ オープン時だけでなく将来の在庫量も考える
店舗をオープンした直後と、営業が安定したあとのバックヤードでは、保管するものの量が変わることがあります。
商品の種類が増えたり、販促物が蓄積したり、スタッフが増えたりすることで、徐々に物が増えていくケースは少なくありません。
そのため、オープン時に棚がぴったり埋まる状態では、すぐに収納が不足する可能性があります。
もちろん、将来のためだけに必要以上に広いバックヤードをつくる必要はありません。
重要なのは、「今必要な量」と「今後増える可能性」を分けて考えることです。
たとえば、後から棚を追加できる壁面を残しておいたり、収納方法を変更できるようにしたりする方法があります。
多店舗展開では、各店舗で使用する備品や収納棚の基本寸法をある程度統一しておくと、新しい店舗をつくるときにも必要なバックヤードの広さを検討しやすくなります。
お客様から見えない場所ほど「営業している状態」で考える
店舗の内装計画では、完成した状態を図面やパースで確認することが多くあります。
ただ、バックヤードについては、何も置かれていない完成時には広く見えても、営業が始まると商品、段ボール、備品、スタッフの荷物などが入ります。
その状態を想定せずに計画すると、完成時には問題がなくても、数か月後には通路まで荷物で埋まってしまうことがあります。
バックヤードを検討するときは、「空の部屋」を見るのではなく、
「棚が入った状態」
「商品が入った状態」
「スタッフが作業している状態」
まで想像してみることがポイントです。
特に既存店舗を改装する場合は、現在バックヤードに置かれている物の量を一度確認すると、新しい店舗で必要な収納量を把握しやすくなります。
まとめ
店舗のバックヤードは、余ったスペースにつくる収納場所ではなく、毎日の店舗運営を支える重要な場所です。
- 店舗の使い方から必要なバックヤード面積を考える
- 収納量だけでなく出し入れのしやすさを確認する
- 売場との行き来がしやすい動線にする
- 商品の搬入から保管までの流れを考える
- コンセントやLANなどの設備を計画する
- 空調や換気もバックヤード単独で確認する
- 将来の在庫やスタッフ増加も少し考えておく
売場を数十センチ広げるためにバックヤードを小さくした結果、毎日の作業がしにくくなるのであれば、店舗全体として使いやすいレイアウトとはいえません。
カネケンでは、売場や接客スペースのデザインだけでなく、バックヤード、スタッフ動線、収納、設備まで含めた店舗内装工事に対応しています。
「売場をできるだけ広くしたいが、バックヤードが狭すぎないか」「在庫量に対してどのくらい収納が必要か分からない」「既存店舗のバックヤードを使いやすく改装したい」といった段階でも、店舗の運営方法を確認しながらレイアウトを検討できます。
店舗の新規出店・改装をご検討の際は、お気軽にご相談ください。