
① 店舗で使用する電気機器を先に洗い出す
電気工事を考えるとき、最初に必要なのは「コンセントを何個付けるか」ではありません。まず、店舗で使用する電気機器を整理します。物販店であれば、照明、POSレジ、決済端末、パソコン、プリンター、防犯カメラ、デジタルサイネージなどがあります。美容室ならドライヤーや美容機器、シャンプー設備の給湯器なども加わります。飲食店では、冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、食洗機、厨房機器など、さらに多くの設備を使用します。同じ20坪の店舗でも、物販店と飲食店では必要な電気設備がまったく異なります。そのため、平面図だけを見てコンセントの数を決めるのではなく、「どこで、何を、何台使うのか」を先に整理しておくことが大切です。機器のメーカーや型番まで決まっていれば、必要な電源条件も確認しやすくなります。
② 電気容量は「店舗全体」で考える
店舗にはすでに電気が来ているから、そのまま使えるとは限りません。確認したいのは、その物件で現在使用できる電気容量と、新しい店舗で必要になる電気容量です。照明だけを見ると大きな電力を使わない店舗でも、空調や厨房機器、美容機器、給湯設備などを同時に使うと、必要な容量は増えていきます。特に注意したいのは、既存の分電盤を大きなものへ交換すれば、必ず容量を増やせるわけではないことです。店舗まで電気を送っている建物側の幹線や、建物全体の設備に余裕がなければ、希望する容量まで増やせない場合があります。物件を契約する前であれば、現在の容量だけではなく、「不足した場合に増設できるか」まで確認しておくと安心です。
③ 100V・200Vと専用回路を確認する
一般的なコンセントで使用する機器だけなら分かりやすいのですが、店舗設備の中には200Vの電源を必要とするものがあります。業務用エアコンや厨房機器、美容機器などは、機種によって必要な電源が異なります。また、消費電力の大きい設備は、ほかのコンセントと共用せず、専用の回路を設けることがあります。「コンセントが近くにあるから使える」と考えていた設備が、実際には電源条件が合わず、新しく配線し直す必要が出ることもあります。設備機器を選ぶときは、サイズや価格だけではなく、電圧や消費電力などの電源条件も確認しておきましょう。特に施主支給の機器がある場合は、着工前に仕様書を施工会社へ共有しておくとスムーズです。
④ コンセントは什器・家具の配置と一緒に決める
コンセントは、多ければ多いほどよいわけではありません。大切なのは、必要な場所にあることです。たとえばレジ台を設置したあとでコンセントが家具の裏に隠れてしまったり、壁面什器を置いたことで使用できなくなったりすることがあります。逆に、実際に機器を置く場所からコンセントが遠いと、延長コードを使用することになります。見た目が悪くなるだけでなく、清掃や動線の邪魔になることもあります。レジまわりであれば、POSレジ、決済端末、プリンター、電話、ルーターなど複数の機器を使用する場合があります。バックヤードでも、パソコン、複合機、冷蔵庫、充電器など意外と多くの電源が必要になります。コンセントの位置は電気図だけで決めず、什器図や家具配置図と重ねて確認することがポイントです。
⑤ 分電盤は容量だけでなく「空き」も見る
居抜き物件では、既存の分電盤がそのまま残っていることがあります。その場合、「分電盤があるから電気工事は少なくて済みそう」と考えたくなりますが、確認したいのは外見だけではありません。既存回路が何に使われているのか、不要な回路が残っていないか、新しい設備用の回路を追加できる余裕があるかなどを確認します。将来的に設備を増やす予定がある店舗では、最初からある程度の増設余地を考えておく方法もあります。オープンして数か月後に機器を1台追加しただけで分電盤から工事し直す、ということになれば、営業中の工事が必要になることもあります。現在必要な設備だけではなく、今後追加する可能性がある設備についても施工会社へ伝えておくと、計画しやすくなります。
⑥ 照明・空調・LANなどと別々に考えない
店舗の電気工事は、コンセントだけの工事ではありません。照明、空調、換気設備、給湯設備、サイン、防犯カメラ、LAN・Wi-Fiなど、店舗内のさまざまな設備とつながっています。たとえば天井を仕上げたあとに防犯カメラの電源が必要だと分かれば、せっかく完成した天井内へ新しい配線を通さなければならない場合があります。壁面サインに照明を入れるのであれば、サインを取り付ける場所まで電源を持っていく必要があります。Wi-Fiのアクセスポイントや防犯カメラについても、設置位置によっては天井内の電源や通信配線を事前に準備しておくほうがきれいに納まります。内装工事では、それぞれの設備を単独で考えるのではなく、レイアウトが決まった段階でまとめて確認することが大切です。
⑦ 商業施設では工事区分と施設ルールを確認する
ショッピングセンター、駅ビル、百貨店、オフィスビルなどのテナント工事では、電気工事をすべてテナント側の施工会社が自由に行えるとは限りません。建物側の幹線設備や分電盤まわりなどは、施設指定業者によるB工事になる場合があります。一方で、店舗内のコンセントや照明配線などはC工事になるなど、工事区分は施設によって異なります。重要なのは、「前の店舗ではこうだった」という経験だけで判断しないことです。施設から提示される工事区分表や施工要領を確認し、どこまでがテナント側の工事なのかを早めに整理します。B工事が必要になる場合、その費用や工程は店舗側の内装工事とは別に進むことがあります。オープン日が決まっている店舗では、電気関係の申請や工事についても早めに確認しておくことが大切です。
居抜き物件の電気設備は「残っている=使える」ではありません
居抜き物件には、コンセント、照明、分電盤、配線などが残っていることがあります。既存設備を利用できれば工事費を抑えられる可能性がありますが、前の店舗で使用していたからといって、新しい店舗でもそのまま使えるとは限りません。前テナントが物販店で、次に美容室や飲食店が入る場合、使用する電気機器も必要な容量も変わります。また、どのコンセントがどの回路につながっているのか分からない場合や、不要な配線が天井内に残っている場合もあります。居抜き物件では、「何が残っているか」だけではなく、「何を再利用できるか」を現地調査で確認することが重要です。
電気工事は内装が完成してからでは直しにくい部分です
コンセントや配線の変更は、壁や天井を仕上げる前であれば比較的対応しやすいものです。ところが、クロスを貼り、天井を仕上げ、什器まで設置したあとでは、新しい配線を通すために仕上げ部分へ手を入れなければならないことがあります。だからこそ、電気工事は「最後に電気屋さんに考えてもらう」のではなく、店舗レイアウトを決める段階から一緒に考えることが大切です。設備機器の位置、什器、照明、空調、LAN、サインなどをまとめて確認しておけば、完成後の追加工事も減らしやすくなります。
まとめ
- 店舗で使用する電気機器を着工前に整理する
- 現在の電気容量だけでなく増設できるかも確認する
- 100V・200Vや専用回路など機器ごとの電源条件を見る
- コンセントは什器や家具の配置と一緒に決める
- 既存分電盤は回路や増設余地まで確認する
- 照明、空調、LAN、サインなどと電気工事をまとめて考える
- 商業施設ではB工事・C工事などの工事区分を確認する
店舗の電気工事は、完成すると見えなくなる配線も多いため、後から変更しようとすると手間や費用がかかることがあります。特に物件契約前やレイアウト検討中の段階で電気容量や設備条件を確認しておけば、工事が始まってからの想定外を減らすことができます。
カネケンでは、クリニック・買取店・サロン・物販店・飲食チェーン・オフィスなど、さまざまな店舗の内装工事に対応しています。物件資料や図面、導入予定の設備機器が分かれば、電気工事を含めた内装工事の内容や概算についてご相談いただけます。「この物件の電気容量で足りるか」「この機器を置くにはどんな電気工事が必要か」といった段階でも、お気軽にご相談ください。