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2026-10-01

店舗の原状回復工事で失敗しない7つのポイント|退店時の範囲・費用・スケジュールを施工会社が解説

店舗を退店するときに必要になる「原状回復工事」。「借りたときの状態に戻せばいい」「内装を全部撤去してスケルトンにすればいい」と思われることがありますが、実際の原状回復工事は、物件ごとの契約内容や建物のルールによって工事範囲が変わります。壁や床を撤去すれば終わりというわけではなく、設備の撤去、電気配線、空調、給排水、看板、什器など、確認する項目は意外と多くあります。また、退去日が決まってから準備を始めると、施工会社の手配や施設側との調整が間に合わず、予定どおりに明け渡せないこともあります。この記事では、店舗の原状回復工事を進めるときに確認しておきたい7つのポイントを、施工会社の視点で整理します。

内装を撤去したスケルトン状態の店舗区画のイメージ——原状回復工事は契約内容と施設ルールで工事範囲が変わる

① まず賃貸借契約書で原状回復の範囲を確認する

原状回復工事で最初に確認したいのは、「どこまで戻す必要があるのか」です。同じ店舗物件でも、原状回復の条件はすべて同じではありません。

たとえば、

  • 内装をすべて撤去してスケルトン状態に戻す
  • 入居時の状態まで戻す
  • 既存の設備や仕上げの一部を残してよい
  • 指定された範囲のみ補修する

など、契約によって条件が異なります。

特に注意したいのが、「原状回復=必ずスケルトン返し」ではないということです。必要以上に撤去してしまうと、本来残すべき設備まで壊してしまう可能性があります。反対に、残してよいと思っていた空調設備や配線、看板などが撤去対象になっている場合もあります。

まずは賃貸借契約書や工事区分表、管理規約などを確認し、不明な部分があれば貸主や管理会社へ確認してから工事範囲を決めます。

原状回復の範囲を確認する図解——契約によって条件が異なる(内装をすべて撤去してスケルトン状態に戻す/入居時の状態まで戻す/既存の設備や仕上げの一部を残してよい/指定された範囲のみ補修する)——「原状回復=必ずスケルトン返し」ではない/賃貸借契約書・工事区分表・管理規約を確認し、不明な部分は貸主や管理会社へ確認してから工事範囲を決める

② 入居時の状態が分かる資料を確認する

原状回復では、「工事をする前の状態」が重要になります。入居時の図面や写真が残っていれば、どこまでが建物側の設備で、どこからがテナント側で施工したものなのかを確認しやすくなります。

たとえば、既存の天井や空調設備を利用して店舗をつくった場合、その設備は退店時にも残すことになるかもしれません。一方、出店時に新しく設置した間仕切り、什器、照明、配線などは撤去対象になる可能性があります。

数年営業している店舗では、途中で設備を交換したり、レイアウトを変更したりしていることもあります。「どこまでが元からあったものか分からない」という状態になる前に、入居時の図面や工事写真、竣工図などを確認しておくと、原状回復の範囲を整理しやすくなります。

③ 次のテナントが使う設備でも勝手に残さない

退店する店舗からすると、「まだ使えるエアコンだから残したほうがいい」「次の店舗も使える什器だから撤去しなくてもよいのでは」と考えることがあります。確かに、次のテナントが既存設備を利用することで、解体費用を抑えられるケースもあります。

ただし、使える設備だからといって、退店する側の判断だけで残せるとは限りません。空調、給排水、照明、看板、造作家具などを残置する場合は、貸主や管理会社、場合によっては次のテナントとの確認が必要です。

「残してよいと言われたと思っていた設備が、退去直前になって撤去対象になった」となると、追加工事や工程変更につながります。残置する設備がある場合は、口頭だけでなく、対象を分かるように整理して確認しておくと安心です。

④ 商業施設では指定業者や工事ルールを早めに確認する

ショッピングセンター、駅ビル、百貨店などの商業施設では、原状回復工事についても施設独自のルールがあります。工事可能な時間帯、搬出経路、エレベーターの使用、養生方法、廃材の搬出方法などが細かく決められていることがあります。

また、空調や電気、消防設備など建物側につながる部分については、施設指定業者による工事が必要になる場合があります。テナント側の施工会社だけで原状回復工事を完結できるとは限りません。指定業者の工事が必要になると、その見積や手配にも時間がかかることがあります。

退去日が決まっている場合は、できるだけ早い段階で施設側へ連絡し、原状回復の工事区分や必要な申請を確認しておくことが大切です。

⑤ 解体して初めて分かる部分もある

店舗の原状回復工事では、内装を解体してから初めて分かることがあります。たとえば、壁を撤去したところ、既存壁に多数の穴や補修跡が残っていたり、床材を剥がしたところ、下地の補修が必要になったりするケースです。天井内にも、使用しなくなった配線や配管が残っていることがあります。

そのため、現地調査の段階では見えない部分について、追加作業が発生する可能性があります。見積を確認するときは、金額だけではなく、「どこまでの補修が含まれているか」「解体後に追加となる可能性がある工事は何か」も確認しておくと安心です。

追加工事を完全になくすことは難しい場合がありますが、事前に可能性を把握しておけば、予算やスケジュールへの影響を小さくしやすくなります。

⑥ 退去日ではなく「工事完了・検査日」から逆算する

原状回復工事でよくあるのが、「退去日までに工事が終わればよい」と考えてしまうことです。実際には、工事が終わったあとに貸主や管理会社による確認が行われる場合があります。そこで手直しを指示されれば、再度工事を行う時間も必要です。そのため、退去日の前日まで工事をするような工程では、修正する余裕がなくなります。

店舗の営業終了後には、

  • 商品や備品の搬出
  • 什器や設備の撤去
  • 内装解体
  • 補修、仕上げ
  • 清掃
  • 貸主や管理会社の確認
  • 手直し

などの作業があります。

原状回復工事は、最終退去日ではなく、「いつ検査を受ける必要があるか」から逆算してスケジュールを組むことが大切です。

検査日から逆算する工程の図解——営業終了後の作業は、商品や備品の搬出→什器や設備の撤去→内装解体→補修、仕上げ→清掃→貸主や管理会社の確認→手直し——最終退去日ではなく「いつ検査を受ける必要があるか」から逆算する/退去日の前日まで工事をする工程では修正する余裕がなくなる

⑦ 見積は「撤去工事以外」も確認する

原状回復工事の見積では、解体費だけを見て比較しないことも重要です。実際の工事では、内装の撤去以外にもさまざまな費用が発生します。

たとえば、

  • 廃材の搬出、処分
  • 共用部の養生
  • 夜間、休日工事
  • 電気や給排水設備の撤去
  • 空調設備の処理
  • 看板、サインの撤去
  • 床、壁、天井の補修
  • クリーニング

などです。

施工会社によって見積に含まれている範囲が異なると、最初の見積金額が安く見えても、工事を進める中で費用が増える場合があります。見積を比較するときは、「原状回復工事一式」という金額だけではなく、どの工事まで含まれているかを確認しましょう。

原状回復は出店時から意識しておくと進めやすい

原状回復工事は退店するときの話ですが、実は店舗をつくる段階から意識しておくと、将来の負担を減らしやすくなります。たとえば、既存設備をできるだけ活用したり、撤去しやすい納まりで什器や間仕切りをつくったりすることで、退店時の工事内容が変わることがあります。

また、出店時の図面や工事写真を保存しておけば、数年後に原状回復するときにも役立ちます。特に多店舗展開をしている企業では、出店だけでなく、改装や閉店まで含めて店舗の工事履歴を管理しておくと、次回以降の計画にも活用できます。

まとめ

店舗の原状回復工事では、単純に内装を解体するだけではなく、契約内容や施設ルールを確認しながら工事範囲を整理することが重要です。

  • 賃貸借契約書で原状回復の範囲を確認する
  • 入居時の図面や写真を確認する
  • 残置する設備は貸主や管理会社へ確認する
  • 商業施設では工事区分や指定業者を確認する
  • 解体後に追加工事が発生する可能性も考えておく
  • 退去日ではなく検査日から工程を逆算する
  • 見積は撤去、処分、補修などの範囲まで確認する

特に退去日が決まっている店舗では、原状回復の範囲確認や施設との調整を早めに始めることで、直前の追加工事やスケジュール変更を防ぎやすくなります。

カネケンでは、新規出店や改装工事だけでなく、店舗の退店に伴う原状回復工事にも対応しています。「どこまで撤去すればよいのか分からない」「退去日までに工事できるか確認したい」「管理会社から原状回復の資料をもらったが内容が分からない」といった段階でも、契約資料や図面を確認しながら工事内容を整理できます。店舗の退店・原状回復をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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