
① 造作什器と既製品を使い分ける
店舗で使用する什器には、大きく分けて「造作什器」と「既製品」があります。
造作什器は、店舗に合わせて寸法や形、仕上げを決めて製作する什器です。
レジカウンター、受付台、壁面収納、商品棚など、店舗のデザインや使い方に合わせてつくることができます。
一方、既製品はメーカーなどで販売されている完成品や組立式の商品です。納期や価格が分かりやすく、交換や追加もしやすいというメリットがあります。
店舗内のすべてを造作什器にすればよいわけではありません。
お客様からよく見える受付やレジカウンターは造作し、バックヤードの棚は既製品を使用するなど、場所によって使い分ける方法もあります。
デザインを重視する部分と、コストや使い勝手を優先する部分を分けて考えることがポイントです。
② 什器の寸法は通路と動線を含めて考える
什器を計画するときは、什器そのもののサイズだけでなく、周囲に必要なスペースも確認します。
たとえば商品棚を大きくすれば、より多くの商品を並べられるかもしれません。
ただし、棚を大きくしたことで通路が狭くなり、お客様同士がすれ違いにくくなれば、店舗全体としては使いにくくなります。
レジカウンターも同じです。
カウンター内にはPOSレジやプリンター、収納などを置くため、ある程度の大きさが必要ですが、大きくしすぎると売場を圧迫することがあります。
また、スタッフが立つ場所や、引き出し・扉を開けるスペースも必要です。
平面図では問題なく見えても、実際に人が立ったり商品を置いたりすると狭く感じることがあります。
什器の寸法を決めるときは、「置けるかどうか」だけではなく、「置いたあとに人がどう動くか」まで考えることが大切です。
③ 壁や床へ固定する什器は下地を先に確認する
壁面棚や大型の収納など、転倒防止や安全のために壁・床へ固定する什器があります。
この場合に重要なのが、什器を取り付ける場所の下地です。
内装の壁は、表面のボードだけでは重い什器をしっかり固定できない場合があります。
そのため、什器を取り付ける予定の場所には、壁を仕上げる前に必要な下地を入れておくことがあります。
ところが、什器の位置が決まる前に壁工事を進めてしまうと、完成後に「固定したい場所に下地がない」ということが起こります。
そうなると、壁を一部開けて下地を追加したり、固定方法を変更したりする必要が出るかもしれません。
壁面什器、棚、モニター、サインなどを設置する予定がある場合は、早い段階で位置と固定方法を施工会社へ伝えておくとスムーズです。
④ コンセント・LAN・照明と一緒に計画する
レジカウンターや受付台などの什器では、電源や通信設備を使用することが多くあります。
POSレジ、決済端末、パソコン、プリンター、電話、充電器など、実際に営業を始めると複数の機器が必要になります。
什器を設置してからコンセントの位置を考えると、家具の裏に隠れて使えなかったり、延長コードが必要になったりすることがあります。
また、什器の上に商品を並べる場合は、照明との位置関係も重要です。
棚を設置したあとで照明が商品の真上に来ていないことに気づくと、商品に影ができたり、見せたい場所が暗くなったりすることがあります。
レジや受付、商品棚などの位置が決まったら、電気・LAN・照明も同じ図面上で確認しておくことがポイントです。
⑤ 収納は「量」だけでなく「使う場所」で考える
店舗では、「収納はできるだけ多く欲しい」という希望がよくあります。
確かに収納量は重要ですが、収納スペースを増やすことだけを考えると、什器が大きくなりすぎたり、必要な場所から離れて使いにくくなったりすることがあります。
たとえばレジで毎日使う備品がバックヤードにしか置けなければ、スタッフが何度も取りに行くことになります。
反対に、使用頻度の低い備品までレジまわりへ収納すると、カウンターが必要以上に大きくなるかもしれません。
什器を計画するときは、
- 毎日使うもの
- 営業中に補充するもの
- 予備として保管するもの
- お客様から見せたくないもの
などに分けて考えると、必要な収納場所が整理しやすくなります。
収納は「どれだけ入るか」だけではなく、「どこで何を使うか」から考えることが大切です。
⑥ 搬入経路と組み立て方法を確認する
大きな什器を製作するときに忘れやすいのが、店舗までどうやって運び込むかという問題です。
図面上では設置できる大きさでも、入口や廊下、エレベーターを通れなければ、そのまま搬入することはできません。
特に商業施設やビル内の店舗では、バックヤード側の搬入口から指定されたルートで運ぶことがあります。
完成した什器を一体で搬入できない場合は、いくつかの部材に分けて製作し、店舗内で組み立てる方法を検討します。
大型のカウンターや壁面什器などは、完成寸法だけでなく、
- 搬入口の大きさ
- エレベーターの寸法
- 廊下や扉の幅
- 店舗内で組み立てるスペース
なども確認しておく必要があります。
什器は「つくれるか」だけでなく、「現場へ入れられるか」まで含めて計画します。
⑦ 将来の変更や交換も考えておく
店舗は、オープンしたときの状態をずっと変えずに使うとは限りません。
商品の入れ替え、サービス内容の変更、機器の追加、レイアウト変更などに合わせて、什器を動かしたり交換したりすることがあります。
すべての什器を床や壁へ強固に固定してしまうと、将来レイアウトを変更するときに大掛かりな工事が必要になる場合があります。
一方で、安全上固定が必要な什器を可動式にするのも適切ではありません。
どの什器を固定し、どの什器を動かせるようにするかを、店舗の運営方法に合わせて考えることが大切です。
多店舗展開の場合は、店舗ごとにすべて造作するのではなく、基本となる什器の寸法や仕様を決めておく方法もあります。
同じ什器を複数店舗で展開しやすくなり、次回出店時の打ち合わせや見積も進めやすくなります。
什器は内装工事の最後に決めるものではありません
店舗内装では、床・壁・天井を先に決め、最後に什器を考えたくなることがあります。
ただ、実際には什器の位置によって、壁の下地、電源、通信配線、照明などの計画が変わります。
特に造作什器は、寸法や仕上げを決めてから製作するため、着工後に急いで決めようとすると、工程にも影響することがあります。
早い段階で細かな色や仕上げまで決める必要はありませんが、
「ここにレジカウンターを置く」
「この壁には商品棚を付ける」
「この場所に収納が必要」
といった基本的な位置は、レイアウト検討時に整理しておくと工事を進めやすくなります。
什器と内装を別々に考えるのではなく、店舗全体の一部として一緒に計画することがポイントです。
まとめ
店舗の什器工事を計画するときは、デザインや収納量だけでなく、店舗全体のレイアウトや設備との関係まで確認することが重要です。
- 造作什器と既製品を場所によって使い分ける
- 什器の寸法は通路やスタッフ動線を含めて考える
- 壁や床へ固定する場合は下地を事前に確認する
- コンセント、LAN、照明と一緒に計画する
- 収納は使用する場所と頻度から考える
- 大型什器は搬入経路や組み立て方法も確認する
- 将来のレイアウト変更や交換も考えておく
特にレジカウンターや壁面什器などは、内装が完成してから位置を変更しようとすると、電気工事や壁の補修まで必要になることがあります。
カネケンでは、店舗内装工事とあわせて、レジカウンター、受付、商品棚、収納などの什器工事にも対応しています。
「造作什器にするか既製品にするか迷っている」「図面に什器は入っているが、電源や下地まで考えられているか分からない」といった段階でも、店舗全体の施工内容を確認しながらご相談いただけます。
店舗の新規出店・改装をご検討の際は、お気軽にご相談ください。