
ネイルサロンの内装は施術方法から考える
ネイルサロンのレイアウトを決めるとき、最初に整理したいのが提供する施術メニューです。
たとえば、ハンドネイルを中心にする店舗と、フットネイルも行う店舗では、必要な設備やスペースが異なります。
ハンドネイルでは、お客様とスタッフがテーブルを挟んで向かい合う配置が一般的です。
一方、フットネイルでは、リクライニングチェアやフットケア用の設備を使用することがあり、ハンドネイルとは異なるスペースが必要になります。
また、ジェルネイル、ネイルケア、オフなど、提供するメニューによって使用する機器も変わります。
そのため、単純に「何席置けるか」だけで考えるのではなく、各席でどのような施術を行うのかを整理することが大切です。
将来メニューを増やす予定がある場合は、そのためのスペースや設備も検討しておくと、オープン後のレイアウト変更を減らしやすくなります。
施術テーブルは幅だけでなく奥行きと足元も確認する
ネイルサロンでは、施術テーブルの寸法が使いやすさに大きく関係します。
たとえば、店舗を広く見せるために小さなテーブルを選ぶと、施術用のライトや器具、材料を置くスペースが不足することがあります。
反対に、奥行きが大きすぎると、お客様の手元まで距離ができ、スタッフが前かがみになりやすくなる場合があります。
また、テーブルの脚や収納部分が足元のスペースを圧迫していないかも確認したいところです。
施術中はスタッフもお客様も長時間座るため、椅子を引いたときの通路幅や、隣の席との距離も重要です。
特に複数席を並べる店舗では、スタッフが椅子を動かすスペースや、お客様が席へ出入りするスペースも必要になります。
図面上ではテーブルがきれいに並んでいても、椅子を引いた状態では通路が狭くなることがあります。
施術席のレイアウトは、テーブルだけではなく、椅子や使用する機器を配置した状態で確認することがポイントです。
照明は「店内の雰囲気」と「手元の見やすさ」を分ける
ネイルサロンでは、照明計画が特に重要です。
お客様がリラックスできる落ち着いた空間にしたいと考え、暖かみのある照明を選ぶこともあるでしょう。
ただし、施術中の手元は、細かな作業がしやすく、色の違いを確認しやすい環境にする必要があります。
店内全体を落ち着いた明るさにする場合でも、施術席には手元用の照明を追加するなど、場所によって役割を分ける方法があります。
また、照明器具の位置によっては、スタッフ自身の手や体で影ができてしまうことがあります。
施術テーブルの真上に照明を設置すれば必ず使いやすいとは限りません。
施術時の姿勢や手の位置を確認し、必要な場所へ光が届くように計画することが大切です。
さらに、ネイルサロンでは完成したネイルを写真撮影することもあります。
店内の照明と撮影時の見え方が大きく異なる場合は、撮影用の照明や撮影場所を別に考える方法もあります。
照明は店舗のデザインだけでなく、施術のしやすさや仕上がりの確認まで含めて計画します。
ネイルダストとにおいを考えた換気計画
ネイルサロンでは、爪やジェルなどを削る際に細かな粉じんが発生することがあります。
また、使用する材料や溶剤によっては、特有のにおいが発生することもあります。
そのため、一般的な店舗と同じように空調だけを考えるのではなく、施術内容に合わせた集じんや換気についても検討することが重要です。
たとえば、施術テーブルで集じん機を使用する場合は、機器をどこへ置くのか、電源をどこから取るのかを確認します。
集じん機をテーブルへ組み込む場合は、テーブルの構造や機器のメンテナンス方法も関係します。
また、換気設備では、排気だけでなく必要な給気も考えなければなりません。
排気量を増やせば必ず快適になるわけではなく、空調とのバランスや外部への排気方法も確認が必要です。
特に商業施設やテナントビルでは、既存の換気設備を自由に変更できない場合があります。
隣の店舗や共用通路へのにおいの影響も考え、物件契約前から換気条件を確認しておくと安心です。
コンセントは施術席ごとに必要な機器から決める
ネイルサロンでは、一つの施術席で複数の電気機器を使用することがあります。
たとえば、ジェルネイル用の硬化ライト、ネイルマシン、集じん機、手元照明などです。
これらを使用するとき、コンセントが離れた場所にあると、延長コードを床へ這わせることになります。
お客様やスタッフが通る場所に配線があると、つまずきや清掃の妨げになる場合があります。
そのため、施術テーブルの位置が決まったら、そこで使用する機器を一覧にし、コンセントの位置や数を確認します。
テーブルに配線を通す穴を設けたり、足元でコードを整理できるようにしたりする方法もあります。
複数の機器を同時に使用する場合は、コンセントの数だけでなく、消費電力や回路の条件も確認しておきたいところです。
内装が完成してからコンセントを追加すると、壁や床の仕上げに影響することがあるため、施術席と電気設備は一緒に計画することをおすすめします。
器具の洗浄・消毒スペースと収納を確保する
ネイルサロンでは、施術に使用する器具の洗浄や消毒、材料の保管なども日常業務の一部です。
そのため、施術席だけで店舗全体の面積を使い切らないようにすることが大切です。
たとえば、使用済みの器具を置く場所と、洗浄・消毒後の清潔な器具を保管する場所を整理しておくと、作業を進めやすくなります。
また、タオルや消耗品、カラーサンプル、ジェル、清掃用品など、店舗にはさまざまなものが必要です。
こうした備品をすべて施術テーブルの近くに置こうとすると、見た目が雑然としたり、作業スペースが狭くなったりすることがあります。
使用頻度の高いものは手の届く場所へ、予備の材料や消耗品は別の収納へまとめるなど、使い方に合わせた配置が考えられます。
材料によっては保管温度や火気への注意が必要なものもあるため、製品ごとの取扱条件を確認し、適した収納場所を設けることも重要です。
なお、ネイルサロンについては、厚生労働省が「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」を示しています。設備や器具の衛生管理などについて、こうした指針を参考にしながら店舗を計画することが大切です。
フットネイルを行う場合は給排水と床材も確認する
フットネイルを提供する場合は、施術チェアの形状やフットバスの使用方法によって、内装計画が変わります。
たとえば、持ち運びできるフットバスを使用する場合と、給排水設備を接続するタイプでは、必要な工事が異なります。
給排水設備を接続する場合は、既存の給排水位置や配管ルートを確認する必要があります。
排水先までの距離によっては、床下へ配管を通すスペースが必要になる場合もあります。
また、水を使用する場所では、床材の耐水性や清掃のしやすさも考えておきたいところです。
フットネイル用のチェアは、ハンドネイル用の椅子よりも大きなスペースを必要とする場合があります。
リクライニングした状態で周囲の家具や壁に干渉しないか、スタッフが足元で作業できるかまで確認することがポイントです。
まつげサロンを併設する場合は必要な手続きが変わる
ネイルサロンでは、将来的にまつげエクステンションなどのメニューを追加したいと考えることもあるでしょう。
ここで注意したいのが、提供する施術によって必要な手続きが異なることです。
ネイル施術のみを行う店舗については、通常、美容所としての開設届は必要ありません。
一方、まつげエクステンションは美容師法上の美容行為に該当するため、美容師免許や美容所としての開設手続きが必要になります。
美容所には、法律や自治体の条例に基づく構造設備の基準があります。
そのため、オープン時はネイルサロンのみでも、将来まつげサロンを併設する予定がある場合は、内装工事の前に管轄保健所へ相談しておくことをおすすめします。
完成後に美容所としての基準に合わせようとすると、間仕切りや設備などの変更が必要になる可能性があります。
居抜き物件では施術席と設備の再利用を確認する
ネイルサロンの居抜き物件では、施術テーブルや照明、収納家具、空調設備などが残っていることがあります。
これらを再利用できれば、新しく製作する什器や設備工事を減らせる可能性があります。
ただし、既存のテーブルが新しい施術方法に合っているとは限りません。
たとえば、集じん機を組み込みたいのにテーブルの構造が対応していなかったり、使用する機器に対してコンセントが不足していたりすることがあります。
また、以前の店舗と席数が異なる場合は、照明や電気配線を変更する必要が出ることもあります。
居抜き物件を検討するときは、残っている設備が使えるかどうかだけでなく、新しい店舗の運営方法に合っているかを確認することが大切です。
まとめ|ネイルサロンは施術席と設備を一緒に計画する
ネイルサロンの内装工事では、おしゃれなデザインと同じくらい、施術のしやすさや日々の管理のしやすさが重要です。
特に施術テーブルの寸法、手元照明、ネイルダストへの対策、換気、電源、器具の洗浄・消毒スペースなどは、オープン前に確認しておきたい部分です。
また、フットネイルやまつげ施術を行う場合は、必要な設備や手続きが変わることがあります。
店舗が完成してから変更しにくい設備については、レイアウトを決める段階で整理しておくと、工事中の追加や変更を減らしやすくなります。
カネケンでは、美容室・サロンなどの店舗内装工事に対応しており、施術スペースのレイアウトや電気・換気・給排水など、建物の設備条件を含めた施工計画を検討できます。
「この物件に何席設置できるか確認したい」「施術用テーブルに合わせてコンセントを配置したい」「フットネイル用の設備を追加したい」といった段階でも、物件資料や希望するレイアウトをもとに工事内容を整理できます。
ネイルサロンの新規出店・移転・改装をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
参考=厚生労働省「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」(平成22年9月)