
眼鏡店のレイアウトは購入までの流れから考える
眼鏡店の内装を計画するとき、最初に整理したいのが、お客様が来店してから商品を受け取るまでの流れです。
一般的な物販店では、商品を選んでレジで会計するという流れが中心になります。
一方、眼鏡店では、フレームを選んだあとに視力測定を行ったり、レンズについて相談したり、フィッティングを行ったりすることがあります。
また、完成した眼鏡を受け取りに来店するお客様や、調整・修理を希望するお客様もいます。
そのため、眼鏡店では売場だけでなく、接客や作業のためのスペースをどのように配置するかが重要です。
たとえば、視力測定スペースを売場の奥に設ける場合、商品を選ぶお客様の間を何度も行き来しなくてよい動線を考えます。
また、フィッティングや調整を行うカウンターは、スタッフが工具や備品を取り出しやすい位置に設けると作業を進めやすくなります。
店舗全体のレイアウトは、商品を何本展示できるかだけでなく、お客様とスタッフがどのように移動するかまで考えることがポイントです。
フレームの展示什器は見やすさと取りやすさを考える
眼鏡店では、壁面や中央の什器に多くのフレームを展示します。
フレームをできるだけ多く並べたいと考えることもありますが、展示本数を増やせば必ず見やすくなるわけではありません。
特に壁面什器では、商品を展示する高さや間隔によって、お客様の選びやすさが変わります。
高い位置に商品を並べると展示本数は増やせますが、お客様が自分で手に取りにくくなる場合があります。
また、フレームの正面が見やすい什器と、横向きに並べる什器では、必要な奥行きや照明の当たり方も異なります。
什器を計画するときは、商品をどのように見せたいかに加えて、スタッフが商品を取り出したり、元の位置へ戻したりしやすいかも確認します。
壁面に大型の什器を設置する場合は、固定方法も重要です。
下地が必要な什器は、壁を仕上げる前に取付位置を決めておく必要があります。
また、商品展示用の照明やデジタルサイネージを組み込む場合は、電源や配線についても同時に計画しておくと、完成後の追加工事を減らしやすくなります。
照明はフレームとお客様の顔の見え方を確認する
眼鏡店では、照明の当たり方によって商品の印象が変わります。
フレームには金属や樹脂などさまざまな素材が使用され、光沢のあるものや透明感のあるものもあります。
そのため、照明が強く当たりすぎると、商品の表面に光が反射して見えにくくなることがあります。
また、眼鏡店で特に重要なのが、試着したときのお客様の顔の見え方です。
商品展示用の照明ではフレームがきれいに見えていても、試着用の鏡の前に立つと顔に影ができてしまう場合があります。
反対に、鏡の正面から強い光が当たると、まぶしく感じることもあります。
そのため、眼鏡店では商品を見せる照明と、試着・フィッティングを行う場所の照明を分けて考えることが大切です。
たとえば、商品展示にはスポットライトを使用し、試着用の鏡まわりには顔全体が見やすい照明を設ける方法があります。
照明器具を選ぶときは、明るさだけでなく、光の色や商品の色の見え方、鏡への映り込みなども確認しておきたいところです。
視力測定スペースは機器の仕様から寸法を決める
眼鏡店の内装工事で、一般的な物販店と大きく異なるのが視力測定スペースです。
視力測定に使用する機器にはさまざまな種類があり、必要な設置スペースや測定方法も異なります。
たとえば、一定の測定距離が必要な機器もあれば、省スペースで使用できるシステムもあります。
そのため、「視力測定には必ず何メートル必要」と一律に考えるのではなく、導入予定の機器に合わせて必要な寸法を確認することが重要です。
実際に、眼鏡機器メーカーからは、視力測定装置や省スペースでの測定に対応するシステムなど、さまざまな製品が提供されています。
視力測定スペースを計画するときは、機器本体の寸法だけでなく、お客様が座る場所やスタッフが操作するためのスペースも確認します。
また、測定中に周囲の人の動きが気にならないよう、売場との位置関係も考えたいところです。
個室にする場合は、間仕切りだけでなく、照明や空調、換気設備などの配置も関係します。
視力測定スペースの位置は、導入する機器の仕様と店舗全体の動線をあわせて検討することが大切です。
レンズ加工室は電気・給排水・メンテナンスを確認する
店舗内でレンズ加工を行う眼鏡店では、加工機を設置するスペースが必要になります。
レンズ加工機には、レンズの形状を加工する機器や、フレームの形状を読み取る機器などがあります。
また、加工機の種類によっては、加工時に水を使用したり、加工くずを回収するための装置を組み合わせたりします。
たとえば、眼鏡機器メーカーのニデックでは、レンズ加工時に使用する水を循環・ろ過する装置も提供しています。
そのため、加工室の設備計画では、使用する機器の仕様に応じて電源、給排水、加工くずの処理、設置スペースなどを確認する必要があります。
特に注意したいのは、加工機本体を置けるスペースがあれば十分とは限らないことです。
機器の背面や側面に点検スペースが必要な場合もあり、作業台や収納を近くに配置すると、メンテナンスが難しくなることがあります。
また、加工機の運転音や振動が接客スペースへ影響しないかも確認しておきたいところです。
店舗内で加工するのか、外部の加工センターへ依頼するのかによって、必要な工事は大きく変わります。
レイアウトを確定する前に、加工方法と導入予定の機器を整理しておくと進めやすくなります。
フィッティング・調整スペースは収納も重要
眼鏡店では、購入した眼鏡をお客様の顔に合わせて調整するフィッティング作業があります。
また、購入後の再調整や修理などに対応する場合もあります。
こうした作業を行うカウンターでは、お客様とスタッフが向かい合う位置関係や、作業に必要な道具の収納が重要です。
たとえば、作業台の上に工具や備品をすべて並べると、接客スペースが狭くなることがあります。
一方、工具を離れた場所へ収納すると、作業のたびにスタッフが移動しなければなりません。
使用頻度の高い工具や消耗品は手の届く場所へまとめ、それ以外の備品はバックヤードへ収納するなど、作業内容に合わせて配置を考えます。
また、フィッティングカウンターでは、眼鏡の調整に使用する機器や照明などのために電源が必要になることもあります。
造作カウンターを製作する場合は、引き出しや収納だけでなく、コンセントの位置や配線を通す方法まで考えておくことがポイントです。
バックヤードは商品在庫と受け渡しの流れを考える
眼鏡店のバックヤードには、フレームの在庫やレンズ、ケース、消耗品など、さまざまなものを保管します。
また、完成した眼鏡をお客様が受け取りに来るまで保管する場合もあります。
そのため、単に収納棚を設置するだけでなく、商品の入荷から保管、加工、受け渡しまでの流れを整理することが大切です。
たとえば、完成品を保管する場所がレジから遠いと、お客様が受け取りに来るたびにスタッフが店舗の奥まで移動することになります。
また、在庫を管理するためのパソコンやプリンター、通信機器などをバックヤードに設置する場合は、電源やLAN配線も必要です。
特に多店舗展開する眼鏡チェーンでは、在庫管理や発注、商品受け渡しの方法が店舗ごとに大きく異なると、運営しにくくなることがあります。
店舗の規模や物件の形状は異なっても、収納や作業の基本的な配置を標準化しておくと、スタッフが使いやすい店舗をつくりやすくなります。
商業施設の眼鏡店では工事区分も確認する
眼鏡店は、路面店だけでなくショッピングセンターや駅ビル、百貨店などにも出店します。
商業施設では、テナント側で自由に工事できる範囲が決められている場合があります。
たとえば、電気設備の増設や空調・消防設備の変更などは、施設側の指定業者による工事が必要になることがあります。
また、ファサードやサイン、照明、天井高さなどについて設計基準が設けられている場合もあります。
眼鏡店では、商品展示用の壁面什器や視力測定スペース、加工室など、一般的な物販店とは異なる設備が必要になることがあります。
そのため、施設側へ提出するレイアウト図や設備図にも、こうした内容を反映しておくことが大切です。
特に多店舗展開では、同じブランドの店舗でも、施設によって工事条件が異なります。
標準的な店舗仕様を用意しながら、出店する建物の設備条件や施工ルールに合わせて調整することがポイントです。
改装時は既存什器と設備をどこまで使えるか確認する
既存の眼鏡店を改装する場合は、展示什器や視力測定機器、加工機などを再利用できる可能性があります。
ただし、什器や機器がまだ使用できる状態であっても、新しいレイアウトにそのまま対応できるとは限りません。
たとえば、売場の什器配置を変更すると、照明の位置が合わなくなることがあります。
また、加工機や測定機器を移設する場合は、電源や配線の変更が必要になることもあります。
そのため、改装工事では「残すもの」「移設するもの」「新しくするもの」を最初に整理しておくと、工事範囲を把握しやすくなります。
営業を続けながら部分的に改装する場合も、什器や機器をどの順番で移動するかによって、店舗運営への影響が変わります。
改装後の見た目だけでなく、工事中の営業や機器の取り扱いまで考えて計画することが大切です。
まとめ|眼鏡店は売場と作業スペースを一緒に計画する
眼鏡店・メガネショップの内装工事では、商品の見せ方と同じくらい、視力測定やフィッティング、レンズ加工などの作業スペースが重要です。
特に、展示什器の配置、試着用の鏡と照明、視力測定機器の設置寸法、加工室の設備条件は、着工後に変更すると追加工事が必要になる場合があります。
そのため、店舗のレイアウトを検討する段階で、導入予定の機器や日々の業務の流れを整理しておくことをおすすめします。
カネケンでは、物販店や商業施設テナントの内装工事に対応しており、売場の什器工事から電気・照明・給排水などの設備工事まで、店舗全体の施工計画を検討できます。
「眼鏡店のレイアウトに合わせて什器を製作したい」「視力測定機器や加工機の設置条件を確認したい」「既存店舗の什器や設備を利用して改装したい」といった段階でも、図面や物件資料、機器の仕様書などをもとに工事内容を整理できます。
眼鏡店・メガネショップの新規出店・改装をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
参考=ニデック「眼鏡機器一覧」(視力測定・検査機器、レンズ加工機、遠心分離型濾過装置 LFU-220)/ニデック 報道発表「【国内初】オープンフィールドレフラクションシステム「PHANTOM™」を「眼鏡市場 心斎橋本店」に導入」(2026 年 7 月 10 日)